リーダーシップ

2026.04.09 23:22

「エクイティ(公平性)」こそ、いまリーダーに必要な最重要スキルだ

stock.adobe.com

stock.adobe.com

多くのリーダーは、多様性(目に見える違い、見えない違い)やインクルージョン(その違いをどう生かすか)について語ることには慣れている。一方で「E」のつく言葉、すなわちエクイティ(公平性)は、しばしばさらに対立を生みやすい。

そこで筆者は、世界的に知られるソートリーダーであり著者、Fortune 100企業の元バイスプレジデント兼最高DEI責任者で、新著『The Truth About Equity』の著者でもあるセレステ・ウォーレン氏にインタビューした。

対話を通じて1つはっきりしたことがある。エクイティは恐ろしい制度改革ではない。エクイティはリーダーシップである。しかも多くのリーダーは、気づかぬままにすでにそれを実践している可能性が高い。

インタビューを踏まえると、エクイティを前進させるために、すべてのリーダーが理解すべき重要なテーマが3つある。

1. 「?」を超え、エクイティを実務的に定義する

多様性とインクルージョンを受け入れてきた人であっても、エクイティには踏み込めずにいることがある。効果的に導くためには、まずその正体を明らかにしなければならない。多様性とは視点、スキル、文化の「構成」である。インクルージョンとは、その構成を生かす「文化」である。エクイティとは、全員がその共通の目的に実際に貢献できるようにする「道具」である。

ウォーレン氏はこう説明した。「エクイティとは、全員をまったく同じように扱うことではなく、その人が置かれている地点に合わせて向き合うことだ。同じ扱いは、各人の出発点の違いを無視してしまう」

リーダーは、意識的であれ無意識であれ、すでに従業員を一律には扱っていない。新入社員はベテラン社員とは違う扱いになる。上級リーダーは若手社員とは違う扱いになる。リーダーシップとは直感的に、相手がいる地点に合わせて向き合い、障害や壁を取り除くためのもの、あるいは共通の目的へ到達するための資源を提供してきた。そのことは、組織全体の利益につながる。

2. 仕組みによる障壁という「フェンス」を取り払う

ウォーレン氏が用いる最も強力な比喩の1つが、さまざまな形で描かれてきた「フェンスのメタファー」である。多くのリーダーは、数十年にわたり制度化されてきた、目に見えない障壁(〜イズム)を目にすることなく意思決定している。特定のグループに対して具体的な資源(フェンスの向こうを見るための踏み台)を提供すると、それを必要としてこなかった人々は、取り残されることを恐れがちだ。

真にエクイティを体現するリーダーシップには2つのアプローチが要る。いまフェンスによって阻まれている人々を支援すること、そして、より難しく長期にわたる仕事として、フェンスそのものを完全に取り払うことだ。そのためには、エクイティは何かを奪うことではない、という理解を全従業員に浸透させる必要がある。エクイティとは、アクセスを提供することである。

ウォーレン氏はこう強調した。「取り残されているのではない。あなたから何も奪っていない。ただ、他の人にアクセスを与えただけだ。しかし多くのリーダーはそれが見えず、踏み台だけが見えてしまう。公正でエクイティなアクセスを提供することで、全員が得られる利益を強調するべきだ」

3. 従業員のライフサイクルをエクイティと公正の観点で監査する

エクイティが最も力を発揮するのは、採用から後継者計画に至るまで、人事の仕組みの織り目に組み込まれたときである。これはDEIの中でも「派手さ」はないが、最も不可欠な仕事だ。調達戦略を監査し、いつも同じ池で釣りをして、なぜ釣果が変わらないのかと嘆いていないかを点検することを意味する。

リーダーは、透明性が高くデータに基づくプロセスへ移行しなければならない。これには、個人のバイアスを抑えるための構造化されたパネル面接や、後継者計画における「将来性」を評価する明確で客観的な基準が含まれる。後継者計画は、舞台裏に隠れた謎になりがちな領域である。仕組みが機動的で透明であれば、属性にかかわらず、全員にとってよりよい結果を生み出す。

ウォーレン氏はこう述べた。「グローバル組織を率いていると、物理的に近い人たちに高い評価をつけがちだ。だからこそ、透明で明確に定義されたプロセスを持つことが重要だ。全員がそれを理解し、エンゲージメントのルールを理解することで、全員が恩恵を受ける」

立ち止まることの代償

労働力の中心をZ世代とアルファ世代が占める時代に入ろうとしている。これらの世代は、自分たちの価値観を共有せず、自分たちの重要性が明確に理解されない組織に長くはとどまらない。

いまリーダーがエクイティの取り組みで一時停止ボタンを押せば、数年後に人手不足と人材流出が進む中で、大きな警鐘に直面するだろう。エクイティは道徳的要請にとどまらない。エクイティはビジネス戦略である。マーケティング戦略や研究開発(R&D)戦略なしに事業を運営しないのと同じように、ビジネスを動かす「人」に関する戦略なしに成功はない。

「E」のつく言葉は消えない。拳をたたく議論をやめ、全員がフェンスの向こうを見渡せる未来をつくるインクルーシブな対話を始める時だ。

エクイティを体現するリーダーシップの戦略をさらに知りたい人は、セレステ・ウォーレン氏のcrwdiversity.comを訪れるか、著書『The Truth About Equity』を手に取るか、インタビューの全編を視聴してほしい。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事