資産運用

2026.04.09 22:17

a16zが独自のファミリーオフィスを設立 従来型資産管理が創業者に応えられなかった構造的理由

Postmodern Studio - stock.adobe.com

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マーク・アンドリーセンとベン・ホロウィッツが、自分たちと投資先の創業者に利用可能なウェルスマネジメントの選択肢を見渡したとき、業界は構造的に不十分だと結論づけた。その結果生まれたのが、a16z Perennialである。アンドリーセン・ホロウィッツのプリンシパルと、同社が支援する創業者のために特化して設計されたマルチファミリーオフィスだ。Perennialの最高投資責任者(CIO)であるミシェル・デル・ブオーノは、ジャーナリストのモリー・オシェイが昨日公開した幅広いインタビューの中で、同社の論理、ポートフォリオ構築の哲学、そして新たに流動性を得た創業者への警鐘を語った。

従来型ウェルスマネジメントが残した構造的ギャップ

デル・ブオーノによる従来型ウェルスマネジメントへの批判は、かなり深い。従来型の会社は、運用資産残高(AUM)に対する定率フィーを課しており、規模の拡大とシンプルさが報われる仕組みになっている。そのため、それらの会社にとって合理的な対応は、オルタナティブ資産クラスへのアクセスに必要な専門チームへ投資するよりも、株式と債券を中心とする分かりやすいポートフォリオを構築することになる。デル・ブオーノは、その商品を「基本的にはリテール商品だが、非常にハイエンドなサービスという薄化粧をまとっている」と表現する。

そうした会社がオルタナティブに手を伸ばす場合でも、通常はファンド・オブ・ファンズというラッパーを使う。すると、すでに高コストな構造の上に、第二の手数料が重なる。その負担は顧客が吸収することになる。

明白な代替案はシングルファミリーオフィスだ。だが、デル・ブオーノはそれを勧めない。信頼に足るマルチアセットクラスのポートフォリオを運営するには、専門性が高く高給のプロ投資家チームが必要になる。その報酬体系を正当化するには、一般に数十億ドル規模のバランスシートが求められる。コスト問題に加えて、シングルファミリーオフィスは人材の定着に苦しみ、創業家の家長が亡くなると完全に崩壊することも少なくない。

結果として、5000万ドルから10億ドルのポートフォリオを持つ超富裕層の創業者は空白に取り残される。リテール型のウェルスモデルでは複雑すぎる一方、オーダーメイドの機関投資家並みインフラを維持できるほど大きくはないのだ。

投資アルファより税アルファが先に来る

課税対象となる個人で、富の分布の頂点にいる層にとって、最もアクセスしやすいアウトパフォーマンスの形態は、より良い資産を選ぶことではないとデル・ブオーノは主張する。それは税金をより適切に管理することだ。機関投資家向け資産運用会社は、その顧客基盤の中心が非課税の年金基金や大学基金であるため、税引き後リターンを最適化するようには作られていない。そこに、手間をかける意思のある課税対象の個人投資家にとっての構造的な余地が生まれる。

デル・ブオーノが語るツールキットには、信託の仕組みを通じて適格中小企業株式(QSBS)控除を最大化すること、レバレッジを戦略的に用いること、そして多くの他の資産クラスでは得られない減価償却控除を提供する不動産へ意味のある比率で配分することが含まれる。さらに、ポートフォリオの一部を高い流動性を持つ商品に置いておくことも提唱する。利回りのためではなく、市場が下落しディストレスト資産が割安で手に入る局面で投入する「乾いた火薬(ドライパウダー)」として保持するためだ。

富裕な創業者がテキサスやフロリダのような低税率の州へ移るべきかという繰り返される問いに対し、デル・ブオーノの立場は、引っ越しに伴う混乱を検討する前に、まずは州内での高度な節税策を徹底的に使い切るべきだ、というものだ。

次の大型流動化イベントへの備えとSPVの警鐘

集中株式に関するデル・ブオーノのコメントは、IPOの見通しが控えるパイプラインを踏まえると、いっそう緊迫感を帯びる。SpaceXは、Bloombergなどが、直近のセカンダリー取引で評価額が3500億ドルに近い、あるいはそれを超える水準と報じている。同社のようなイベントは、新たに流動性を得る従業員や初期投資家を同時に大量に生むことになる。OpenAIも同様の位置にある。

集中株式に対する彼のアドバイスは、無期限に保有し続けることでも、即座に現金化することでもない。Perennialは、集中ポジションが持つ自然なボラティリティを時間をかけて収益化できるオプション・プログラムを組成する。そのボラティリティから収入を得つつ、長期的なエクスポージャーは維持する狙いだ。目標は、上昇余地を早々に手放すことなく、段階的に分散を進めることである。

未上場企業株のセカンダリー市場について、デル・ブオーノは率直だ。Andurilのような企業へのアクセスとして、リテール投資家やそれに近い層へ販売される多層構造のSPV(特別目的事業体)は、手数料が高く、投資家のコントロールが限定され、場合によっては完全な詐欺であることすらある。直接型でないセカンダリーSPVの構造には、極度の注意を払うよう彼は勧めている。

ベンチャーキャピタル:エクスポージャーよりマネジャー選定が重要

主要な資産クラスの中で、デル・ブオーノはベンチャーキャピタルが最もリターンのばらつきが大きいと指摘する。多くの資産クラスでは、中央値のマネジャーと上位25%のマネジャーの差は意味があるものの劇的ではない。しかしベンチャーでは、一流のマネジャーに投資することと、その他に投資することの差は、卓越したリターンと恒久的な元本毀損との差である。適切なマネジャーにアクセスできないまま、資産クラスとしてのVCエクスポージャーだけを得ることは、彼の枠組みでは、機会ではなく罠である。

この主張は学術研究でも十分に裏づけられている。Cambridge AssociatesKauffman Fellowsの研究は一貫して、ベンチャーファンドの上位10%が業界全体のリターンの不均衡に大きな部分を獲得していること、そしてそれらのリターンが少数の突出した成果によって生み出されていることを示してきた。

流動化イベント後に創業者が最も犯しがちな誤り

新たに富を得た創業者が最も頻繁に間違える点は何かと問われると、デル・ブオーノの答えは明確だ。最初の流動化イベントで得た資金の大半を、すぐに友人やネットワークの立ち上げたアーリーステージのスタートアップへ投じてしまうことだ。その理屈は理解できる。自分自身が成功したばかりの創業者は、スタートアップがいかに頻繁に失敗するかを受け入れるのが難しい。結果は、彼の言葉を借りれば「ほとんど常に涙で終わる」のである。

ベンチャーへのエクスポージャーを望む創業者に対し、デル・ブオーノは裁量的なエンジェル投資よりも体系的なアプローチを勧める。定義された配分サイズ、一貫した参入基準、そして人間関係ベースの小切手書きではなく、ポートフォリオ構築の論理に基づくべきだという。

a16zが自社オフィスに適用した採用哲学

デル・ブオーノはインタビューの締めくくりに、アンドリーセンとホロウィッツから人材について学んだことを振り返った。同社のやり方は、弱点の少ない候補者を採るのではなく、卓越した特定のスキルを持つ人材を採ることにある。欠点を矯正しようとするのではなく、際立った強みを見極め、それを軸にする。この志向こそが、a16zが編成してきたチームを築いたものだと、デル・ブオーノは評価する。

この哲学は、Perennialが自社の投資チームを構築する方法にも、そして流動化後、資本がもはや制約要因ではなくなった局面で、創業者が組織づくりをどう考えるべきかという助言にも及んでいる。

forbes.com 原文

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