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2026.04.09 22:08

元OpenAI研究者のSEC報告書が明かす「本当のAI競争」の姿

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Link Ventures共同創業者で、アーリーステージのAI企業を統括するマネージングパートナーでもあるデイブ・ブランディンが今月初め、XでSituational Awarenessファンドの13F報告書に言及した際、その指摘は鋭いものだった。今後3年間でW-2所得(給与所得)は大打撃を受けるが、株式市場の追い風はこれまで見たことがないほど強烈だ、と。23社を共同創業し、EverQuote(NASDAQ: EVER)の会長を務め、米国で2兆ドル超の資産を運用するVestmarkを創業したブランディンは、誇張を好む人物ではない。

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彼が注目したファンドは、レオポルド・アッシェンブレナーが運営するものだ。アッシェンブレナーは2024年にOpenAIのスーパーアライメントチームから解雇された元研究者である。しかし彼は退くことなく、サンフランシスコを拠点とするヘッジファンド「Situational Awareness LP」を立ち上げた。このファンドは、彼が2024年に発表した同名の165ページに及ぶエッセイの論旨をそのまま投資戦略に落とし込んだものだ。そのエッセイでは、AGI(汎用人工知能)は政府や投資家が理解しているよりも早く到来しつつあり、米国はそれに応じた行動を取る必要があると主張していた。

エッセイから55億ドルの株式エクスポージャーへ

このファンドは、Stripe創業者のパトリック・コリソンとジョン・コリソン、そしてナット・フリードマンとダニエル・グロスからのアンカー出資でスタートした。Fortuneによると、Situational Awarenessは現在、約30銘柄にわたり約55億ドルの米国株式エクスポージャーを報告している。この数字は13Fで開示されたロングポジションの簿価を示す。ファンドのForm ADVによれば実際の運用資産残高は3億8300万ドルであり、13F報告書は運用資産総額ではなく、レバレッジを含むグロスのロングエクスポージャーを捉えるためだ。

それでも成長は注目に値する。CoinTelegraphによると、ファンドの13F報告による米国株式・オプションポートフォリオは、2024年第4四半期の約2億5400万ドルから、2025年第4四半期には55億ドル超へと成長した。アッシェンブレナーは自身の純資産のほぼすべてをこのファンドに投資している。

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ポートフォリオ:モデルではなく電力とコンピュート

Xで広く拡散された2025年第4四半期の13F保有銘柄は、上位8ポジションで報告価値32億ドル強を占めている。Bloom Energy Corpが8億7550万ドル(配分比22%、1010万株)でトップ、次いでLumentum Holdingsが4億7860万ドル(12%)、CoreWeaveが4億3670万ドル(11%)、Core Scientificが4億1870万ドル(11%)と続く。IREN Limited、Applied Digital Corp、SanDisk Corp、Cipher Miningが上位8銘柄を構成し、配分比は4%から8%の範囲だ。

その論理は明快である。AIモデルを構築する企業を保有するのではなく、アッシェンブレナーはそれらのモデルが必要とするインフラを保有しているのだ。Fortuneが報じたように、このポートフォリオは明確なテーゼを示唆している。AI時代において最も価値ある資産は、アルゴリズムではなく電力と計算資源かもしれないということだ。Bloom Energyは燃料電池による電力を供給する。CoreWeaveはAIクラウドインフラを提供する。Core Scientific、IREN、Applied Digital、Cipher Miningは大規模な計算資源オペレーターであり、ビットコインのマイニング能力をAIホスティング施設へと転用している。

最後のカテゴリーは特に示唆に富む。CoinTelegraphによると、Core ScientificはCoreWeaveと12年間のハイパフォーマンス・コンピューティング・ホスティング契約を締結している。ビットコインの直近の半減期でブロック報酬が圧縮された後、電力密度の高い施設を持つマイナーたちは第二の市場を見出した。データセンターを十分な速さで建設できないAI企業に、メガワットとラックスペースを貸し出すという市場だ。

VCがここから得るべき示唆

AIへのエクスポージャーを狙う従来のVCの定石は、基盤モデル企業、アプリケーション層のスタートアップ、開発者向けツールへと通じている。Situational Awarenessは異なる枠組みを提示する。AIの最も内側のループはソフトウェアではなく、物理的制約だということだ。電子とGPUを支配する者が、進歩の速度を支配する。

W-2所得に関するブランディンの指摘は、ベンチャーキャピタルにとって別の意味合いも持つ。AIシステムがより多くの知的労働を吸収するにつれ、知識労働における人的資本への期待リターンは縮む。一方で、その代替を可能にするインフラ、とりわけ資本所有への期待リターンは逆方向に拡大する。これはマクロ経済学において新奇なテーゼではないが、13F報告書はそれを具体的かつ公的に検証可能な形で示している。

VCにとっての関連性は構造的である。多くのアーリーステージ・ファンドは、Bloom EnergyやCoreWeaveを大規模に直接保有することはできない。だが、Situational Awarenessのポートフォリオを地図として使うことはできる。すなわち、いま種がまかれている企業のうち、やがてそのインフラ層の供給者、顧客、あるいは競合となる企業こそが、次の10年のベンチャー・アルファが宿る場所だ。

アッシェンブレナーのエッセイは、彼の見立てを要約する一文で始まっていた。未来はまずサンフランシスコで見える、というものだ。彼の13F報告書は、彼がすでにそこにポジションを取っていることを示唆している。

forbes.com 原文

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