では、鉄鋼メーカーが脱炭素化を前に進めるためにはどうすればいいのか。
第一に、「高炉の廃止時期」を明示した移行計画の公表である。単なるコミットメントではなく、石炭を使用する既存設備をいつまでに停止し、ニア・ゼロエミッション設備へ転換するのか、具体的な期限を伴うロードマップが不可欠となる。高炉のリライニング(改修)などの延命措置は、脱炭素化の歩みを停滞させる「足かせ」でしかない。
第二に、「グリーンアイアン(低排出鉄源)」の確保と商用化の加速だ。現在、日本企業を含む多くのメーカーがこのカテゴリーで0点に近いスコアとなっている。水素直接還元製鉄(H2-DRI)などの技術を、実証段階から商業規模へと引き上げる決断が急務である。グリーンアイアンは、既存の高炉生産を補完するものではなく、完全に代替するものとして位置づけなければならない。
第三に、投資判断に直結する透明性の高い情報開示である。SBTiなどの国際的な第三者認証を取得し、気候目標を具体的な事業・投資計画に反映させる必要がある。
鉄鋼業界にとって、事業構造の変革はもはや選択肢ではなく、生存条件だ。2030年を迎える前に、石炭依存の旧来型ビジネスモデルから脱却できるか。企業の本気度が問われる。
出典:SteelWatch Stichting「スティールウォッチ鉄鋼企業スコアカード 2026」より


