世界の二酸化炭素(CO2)排出量の約1割を占める鉄鋼セクター。長寿命の設備と膨大な資本を必要とするこの業界において、今下される意思決定は数十年先の地球環境を左右する。こうした中、主要鉄鋼メーカー18社の脱炭素化への準備状況を評価した「鉄鋼企業スコアカード 2026」が発表された。
調査結果によれば、現時点でネットゼロ社会への移行準備が整っている企業は1社も存在しない。100点満点中50点を超えた企業はなく、比較的評価の高い企業でさえ、理想と現実の間に大きなギャップを抱えている実態が浮き彫りとなった。
日本を代表する鉄鋼メーカーである日本製鉄とJFEスチールの評価は、極めて厳しいものとなった。総合スコアではJFEスチールが23.4点(18社中12位)、日本製鉄が16.8点(17位)といずれも下位に沈んでいる。
両社に共通する最大の懸念事項は、石炭を使用した高炉法への固執だ。報告書では、日本製鉄について「中核事業の脱炭素化に向けた進展の兆しをほとんど示していない」と指摘。同社はビジネスモデル上、石炭を用いた生産体制から脱却できず、迅速かつ抜本的な移行に求められる生産技術や事業戦略、情報開示の要件において実質的な取り組みを欠くと評価された。

JFEスチールについては、石炭消費量が2021年の19.9Mt(百万トン)から2024年には16.2Mtへと減少傾向にある点は評価された。しかし、これは主に生産能力の縮小に伴うものであり、2023年に高炉への再投資を行うなど、石炭ベースの生産体制を維持する動きが続いている。
両社とも2050年のネットゼロ目標は掲げているものの、科学的根拠に基づく「SBTi認定(パリ協定に準拠した温室効果ガス削減目標を企業が設定し、第三者機関が認証する仕組み)」は取得していない。長期目標と現在の投資判断が整合しておらず、高排出設備を長期にわたって固定化するリスクを抱えている。



