太陽系で最も謎めいていて、最も価値の高い可能性のある小惑星の1つであるプシケ(16 Psyche)の表面にある衝突クレーターが、プシケの起源を突き止める助けになる可能性があるとする最新の研究結果が発表された。
金属質の小惑星プシケの起源をめぐっては、惑星になり損ねた天体の中心核が露出したものとする説や、岩石と金属の寄せ集まりだとする説などがあるが、未だ明らかになっていない。
200年以上前に発見されたプシケは、現在知られている最大の金属質小惑星で直径が約225km、火星と木星の軌道の間にある小惑星帯で10番目に質量が大きい天体だ。
プシケの特異な組成が長年、天文学者の関心を集めている理由は、惑星形成の仕組みを解明する手がかりになるからだけでなく、金属含有量の多さにもある。プシケに無人機サイキを送り込むNASAの探査計画の主任研究員を務めるリンディ・エルキンス・タントンが2017年に行った概算によると、その価値は約1000京ドル(1京は1兆の1万倍)に上るとされる。
金属天体の探査ミッション
無人探査機サイキ(Psycheの英語読み)は2023年10月13日、米宇宙開発企業スペースXのファルコンヘビー大型ロケットに搭載され、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。6年間におよぶ旅の途中にあるサイキは、5月に火星に接近してスイングバイを実施し、2029年にはプシケに到着する見通しだ。金属が豊富な小惑星の調査を目的として特別に設計された初の探査機であり、プシケの周回軌道に入り、小惑星の3D地図を作成する予定だ。
プシケは惑星の核の残骸なのか。それとも、太陽系初期の惑星の原材料物質の残りなのだろうか。いずれにせよ、プシケの探査により、すでに存在しない初期惑星の内部を垣間見ることができる。
プシケの衝突クレーター
米アリゾナ大学が主導した最近の研究では、プシケの大型の衝突クレーターがどのようにして内部構造を探る手がかりとなり得るかを調べた。研究をまとめた論文は学術誌JGR Planetsに掲載された。プシケと小惑星との衝突をシミュレーションすることで、研究チームは2029年に探査機が到着すれば検証できる予測を行っている。
論文の筆頭執筆者で、アリゾナ大の月惑星研究所に所属する博士号取得候補者のナミャ・バイジャルは「大型の衝突盆地やクレーターが小惑星を深く掘り下げている。これにより、小惑星の内部が何でできているかについての手がかりが得られる」と説明する。「最大規模のクレーターの1つの形成過程をシミュレーションすることで、探査機が到着した際に検証可能なプシケ全体の組成に関する予測を行うことができた」



