先月末、ニューヨークの地下鉄の駅の階段でピザを運ぶネズミの動画「PizzaRat」がネットで拡散。その再生回数は800万回近くにのぼった。人々が#PizzaRatのハッシュタグでツイートをしている間に、Yandy社のチャド・ホーツマンはネットのバイラルの力を自社のビジネスにつなげる方法を考えていた。
ホーツマンは、10年前にランジェリーの販売サイトYandy.comを創設。ここ数年は奇抜でセクシーなハロウィンコスチュームで大幅に売り上げを伸ばしてきた。Yandyは今年、このネズミの人気にあやかったほか、共和党のドナルド・トランプをネタにした「ドナ・Tランプシェイカー」といった衣装を販売している。
Yandyの売上高は年間約5,000万ドル(約60億円)。その3割の1,500万ドル(約18億円)を9月、10月のハロウィンシーズンから得ている。露出度の高いコスチュームも多く、ガーター・ベルト付きのストッキングが特徴の商品もある。同社の急成長を支えるのは、中核事業のランジェリー販売ではなく、これら「セクシーな」コスチュームの売り上げだ。
ホーツマンによると「当初はナースやメイド、魔女など、ベーシックなものを数多く扱ってきたが、年を追うごとに過激なものが増えた」という。
SEOの知識が豊富なホーツマンは、自社サイトのキーワードをチューニング。「セクシーなハロウィンコスチューム」と検索すれば、同社のサイトがトップに表示されるようになった。「グーグル対策で大事なのはサイトの中身。我が社のサイトには全てのページに、素晴らしいコンテンツとキーワードが含まれています」とホーツマンは語る。
ソーシャルメディアの力も同社に味方した。「セクシーな水着も奇妙なハロウィンのコスチュームも、当社の製品はバイラルで広まったんです」という。
通常、デザインの着想からコスチュームの出荷までには2~3週間がかかる。だが、最新作の「セクシーなPizzaRat」は最短記録の5日間で完成させた。ホーツマンは「この衣装にはピザのポケットも付け足しました」と自信たっぷりに語った。