暗号資産

2026.04.09 16:30

グーグルが警鐘、ビットコインの危機──量子コンピューターの脅威

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ビットコイン投資にとって最大の脅威は、国際政治の動きでも、暗号資産ウォレットの脆弱性でも、ましてや、あまりに悪質なレンチ攻撃(暴力や脅迫でウォレットの認証情報を奪う手口)の広がりでもないのかもしれない。最悪の事態はまだこれからかもしれないのだ。グーグルは、ブロックチェーンを守る楕円曲線暗号を破るのに必要な量子コンピューターの性能が、これまで考えられていたほど高くなくても済むと警告している。以下では、知っておくべき点と、少なくともまだ慌てる必要がない理由を説明する。

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グーグルの量子AI研究幹部、ビットコインに対する量子コンピューターの脅威を警告

量子コンピューティングやAIアルゴリズムの話は、技術に不慣れな人には荷が重く、私のようなテクノロジー愛好家でも、時に追いかけるのがやっとだ。しかし、グーグルで量子アルゴリズム研究ディレクターを務めるライアン・バブッシュと、グーグル・リサーチのQuantum AI部門でエンジニアリング担当副社長を務めるハルトムート・ネーベンが、「量子コンピューターは、従来考えられていたより少ない量子ビット数とゲート数で、暗号資産やその他のシステムを守る楕円曲線暗号を破る可能性がある」と警告するのであれば、今こそ技術の話として本気で向き合うべきだ。

暗号資産の保有者が直面する数多くの脅威の中でも、ニュースの見出しで最も注目を集めがちなのは、Trust Wallet(有名な暗号資産ウォレット)が700万ドル(約11億1000万円。1ドル=158円換算)のハッキング被害を確認した件や、ウォレットの認証情報を奪うために人が文字どおり拷問されるレンチ攻撃の事例である。もちろん、こうした問題の重大さを軽く見るつもりはまったくない。

だが、攻撃のより高度で洗練された側面にも目を向ける必要がある。そこで意味を持つのが、グーグルの研究『Safeguarding cryptocurrency by disclosing quantum vulnerabilities responsibly』(量子脆弱性を責任を持って開示することで暗号資産を守る)である。

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文書の核心は、楕円曲線暗号を破る量子ビット数が20分の1に削減されたこと

このグーグルの論文の目的は、量子技術がブロックチェーンにもたらす脅威への認識を高め、その脅威が現実の差し迫った問題になる前に、暗号資産コミュニティに対して、セキュリティと安定性を高めるための提言を示すことにある。技術的な全体像を知るには原論文を読むことを勧めるが、要点はこうだ。量子コンピューティングの研究開発が進む速さによって、対象となる楕円曲線暗号を破るのに必要な「物理量子ビット数が20分の1に減った」のだ。

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翻訳=酒匂寛

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