北米

2026.04.09 17:00

「空母不足」に悩む米海軍、問題は造船能力の限界

米バージニア州のニューポートニュース造船所のドライドックから装備ドックに移された米海軍の原子力空母「USSジョン・F・ケネディ(CVN-79)」(Greg Meland/Getty Images)

米バージニア州のニューポートニュース造船所のドライドックから装備ドックに移された米海軍の原子力空母「USSジョン・F・ケネディ(CVN-79)」(Greg Meland/Getty Images)

米海軍は来月、原子力空母「USSニミッツ(CVN-68)」を退役させる予定だった。だが現役最古の超大型空母は、少なくとも公式にはもう1年、現役を続行することとなった。就役から51年目を迎える同艦が、再び展開任務に就く可能性は低い。しかし、最新鋭のジェラルド・R・フォード級空母の2番艦「USSジョン・F・ケネディ(CVN-79)」の引き渡しが2027年まで延期されたため、緊急時に備えてニミッツを運用できる状態にしておく必要が生じたのだ。

advertisement

これは決して新しい問題ではなく、空母に限った話でもない。米海軍では主要な造船計画全般にわたって遅延が生じており、対応に苦慮している。とはいえ、空母は世界中に軍事力を投射できる軍艦だ。そして、端的に言って、現在の米国は十分な数の空母を保持していない。

建造数を増やすことが明らかな解決策だが、コストが高いうえに、単純に米国には現時点でそれを為しうる産業能力がない

「現在の状況は、蓄積された負担を反映している」と脅威インテリジェンス会社スカラブ・ライジングの社長で地政学アナリストのイリーナ・ツッカーマンは警告する。

advertisement

フォード級空母は、空母能力における世代交代を象徴するはずだった。米海軍はより少ない空母で、より多くのことを成し遂げられるようになるはずだったのだ。しかし実際には、技術的な野心が産業規律を凌駕するという、米国でおなじみのパターンに陥ってしまった。

「空母ジェラルド・R・フォードは引き渡し後も、何年もかけて技術的な修正を施さなければならなかった」とツッカーマンは続けた。「空母ジョン・F・ケネディは、人手不足やサプライヤーの納期遅延によって作業工程の変更を余儀なくされている」

フォード級空母の3番艦である「USSエンタープライズ(CVN-80)」も現在建造中だが、これまでの失敗や遅延を繰り返さないための取り組みが進められている。米海軍として得られた教訓を組織に根付かせることを模索しつつ、艦船間での労働力の漂流を防ぐ環境下で建造が進められている。

問題の1つは、空母建造のすべてがたった1カ所の造船所、すなわち米防衛造船大手ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)のニューポート・ニューズ造船所に依存している点だ。米海軍が現在運用する空母全艦の設計から建造、燃料交換までを、この造船所が単独で担っているのである。

次ページ > 米空母の産業基盤は、ほとんど余裕のない状態で稼働し続けている

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事