北米

2026.04.09 17:00

「空母不足」に悩む米海軍、問題は造船能力の限界

米バージニア州のニューポートニュース造船所のドライドックから装備ドックに移された米海軍の原子力空母「USSジョン・F・ケネディ(CVN-79)」(Greg Meland/Getty Images)

ニューポート・ニューズ造船所の広報担当者は、「国家安全保障に不可欠な原子力空母の設計・建造・保守に携われることを誇りに思っている。造船はチームスポーツだ。われわれは空母を支える産業基盤のサプライヤー数千社と連携して精勤し、納期改善に取り組んでいる」と筆者の問い合わせに電子メールで回答。「改善策には人材・技術・インフラへの投資も含まれる。いずれも、安定した予測可能な需要シグナルと、それに伴う資金がなければ成功しない」と付け加えた。

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長年蓄積された問題

米海軍空母の建造・保守に必要な部品・装備・サービスを提供する全米2000社余りでつくる「空母産業基盤連合(ACIBC)」は、サプライチェーンの課題、米国内の造船所の減少と労働力の高齢化に伴う人材不足、未検証の新技術の導入について、何年も前から警鐘を鳴らしてきた。調達スケジュールが不確実な状態では、原子炉の取扱訓練を受けた労働力を維持できなくなるリスクもあり、その育成は一朝一夕にはできない。

これらの問題に対処するには、米海軍がACIBCをもっと効果的に活用しなければならない。資金が安定したペースで確実に流れるようにすることも、これに含まれる。ACIBCのリサ・パピーニ会長は「当面の焦点は、まだ活用しきれていない国内生産能力を有する2000社余の会員からなる既存の産業基盤を強化することだ」と述べる。

「ACIBCの調査データによると、需要シグナルが不安定で資金調達の予測ができないことにより、現在フル稼働できているサプライヤーは10%に満たない」とパピーニは電子メールで説明。「明確で一貫性のある資金提供があれば、われわれはこの潜在能力を引き出し、米国の海上優位性の実現に100%貢献する国内産業基盤を活用できる」と訴えた。

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米バージニア州のニューポートニューズ造船所を出港し、海上公試運転に向けて初めて自力航行する米海軍の原子力空母「USSジェラルド・R・フォード(CVN-78)」。2017年4月8日撮影(U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Ridge Leoni, Public domain, via Wikimedia Commons)
米バージニア州のニューポートニューズ造船所を出港し、海上公試運転に向けて初めて自力航行する米海軍の原子力空母「USSジェラルド・R・フォード(CVN-78)」。2017年4月8日撮影(U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Ridge Leoni, Public domain, via Wikimedia Commons)

遅延の余地はない

米海軍の空母産業基盤は、ほとんど余裕のない状態で稼働し続けている。次世代の超大型空母を世に送り出すだけでなく、米海軍が世界中に展開する既存の艦隊の維持も行わなければならない。その結果、システムは逼迫し、遅延しがちで、混乱しやすい状態が続いている。

「専門的な労働力の育成には数年を要し、サプライヤーネットワークは急速な拡大に対応しきれず、整備スケジュールは世界各地の紛争の状況によって左右される」とスカラブ・ライジングのツッカーマン社長は指摘する。「米国は依然として、世界最大かつ最も能力の高い空母部隊を擁している。より深刻な懸念は、その部隊の後背に控えた予備戦力がほとんどない点にある。いまや遅延は、戦略的なリスクに直結するのだ」

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翻訳・編集=荻原藤緒

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