クリエイターエコノミーは広告の上に築かれてきた。
10年以上にわたり、ブランドはクリエイターに現金を支払い、スポンサー付きコンテンツを投稿させてきた。クリエイターはリーチを収益化し、スタートアップは流通(ディストリビューション)を買い、オーディエンスは#adの開示を流し見してきた。
しかし今、変化が起きつつあるのかもしれない。
ゴールドマン・サックスによれば、クリエイターエコノミーは2027年までに5000億ドルに近づき、2022年水準からほぼ倍増する可能性がある。同時に、インフルエンサーマーケティングへの支出は増え続けており、インフルエンサーマーケティング市場は2026年までに405億ドルに達すると予測されている。だが支出の増加は、根強い問題を解消していない。顧客獲得コストの上昇と、従来型広告への信頼低下である。
エデルマンの「2025年トラスト・バロメーター」では、消費者の80%がブランドや機関よりも「自分と同じような顧客」を信頼するとされた。一方で、Metaの広告コストは過去3年で大きく変動しており、資本市場の引き締まりに直面するベンチャー出資のスタートアップに、さらなる圧力をかけている。
こうした文脈の中で、一部の創業者やクリエイターは、ブランドとの提携構造を見直し始めている。
影響力と引き換えに株式を提供するプラットフォームOWMの創業者ジェフ・フロマーは、クリエイターエコノミーの次のフェーズはスポンサー投稿よりも、持分(オーナーシップ)に関わるものになると主張する。
「より多くの創業者に知ってほしいのは、エクイティ(株式持分)は最も価値ある通貨であり、成長のために使えるということだ」と、彼は私とのポッドキャストで語った。「それは、クリエイターをキャップテーブルに載せることを意味する。同時に、すでに載っている一人ひとりから、より大きな価値を引き出すことでもある」
取引型インフルエンスの限界
インフルエンサーマーケティングは当初、従来型広告よりも「本物らしい」代替手段として語られていた。だが、業界が職業化するにつれ、取引色も強まっていった。
フロマーは、そのモデルに疲れが広がっていると見る。
「あのCMで彼がスプライトを飲んでいるのを見ると……まあ分かる。彼は『稼ぎに行ってる』。あれは金をもらってやっているだけだ」と彼は言う。「クリエイターが信頼と注目を得ることを許したオーディエンスの側にも、かなりの疲れがあると思う。信頼と注目を得たはずのクリエイターが、その見返りに、自分には実質的な利害関係のないものを売りつけるのだから」
問題はインフルエンサーマーケティングそのものではなく、インセンティブの不一致だと彼は言う。
「クリエイターとして、ひたすら積み上げて、気づけばオーディエンスができる。すると『じゃあ、これでどうやって稼ぐ?』となる。それでブランド案件を取り始める……中には、製品を試しもしないことだってある」
その結果、推奨は一貫性を欠きうる。
「あなたは『これが大好き』と言った。私はあなたを信じた。なのに翌週には、その競合を売っている」
結局のところ、希少な資産は信頼だと彼は言う。
「最後に残るのは信頼だけだ」
マーケティング戦略としてのエクイティ
ベンチャー出資のスタートアップにとって、流通(ディストリビューション)は依然として中核的な課題である。
「いまの時代、何を作っていようと、存在を知られなければ死ぬ。すべての創業者に当てはまる」とフロマーは言う。
従来、スタートアップは有料獲得に依存してきた。
「MetaかGoogleに金を払ってオーディエンスを借りるか、インフルエンサーに支払うかだ」と彼は言う。「でも、最も価値ある通貨がエクイティなら、あなたが作っているものを本当に信じる人たちにインセンティブを与えるために、それを使わない理由はない」
彼の主張は、エクイティを成長の仕組みとして捉え直すものだ。
「ベンチャーから出た1ドルのうち、どうせ40セントがマーケティングや顧客獲得に消えるのなら……最も価値ある通貨であるエクイティを、成長エンジンとして使えばいいじゃないか」
学術研究も、インセンティブが行動を形づくるという考えを支持している。行動経済学者チャーリー・マンガーは「インセンティブが結果を生む」との言葉で知られ、フロマーもそのフレーズをそのまま繰り返す。
「自分が持っていると、扱いが変わる」と彼は言う。
オーナーシップは、経済条件だけでなくメッセージングも変える。
「売り方が変わる。『私はこれに投資した。現金を別のところで受け取ることもできた。でも私は、これに全力で賭けると決めた』と言える。今やそれは自分のものなのだから、語り方そのものを変えなければならない」
教育という障壁
関心が高まっているにもかかわらず、エクイティを軸にした提携は依然として複雑である。
「なぜか分からないが、高校でも大学でも、こういうことは何も教えてくれない」とフロマーは言う。「エクイティの権利確定スケジュールを理解するには、投資銀行家である必要がある」
ベスティング(権利確定)スケジュール、クリフ、ストックオプション、ワラント(新株予約権)などを含むエクイティの仕組みは、クリエイターにとって未知の領域になりがちだ。
フロマーはキャリアの早い段階で、これを身をもって経験した。
「マネージャーにどう報酬を払うべきか分からなかった。エクイティの価値も分からなかった。会社の評価方法も分からなかった」と彼は言い、過去に見送った取引について説明する。「面倒で、複雑になりすぎた」
その後、エンジェル投資家として彼は、構造的な断絶があると感じたという。
「彼らは私の金を受け取り、私にエクイティを渡す。そしてほとんど同じ日に、その金でインフルエンサーに支払ってブランドについて語らせる。つまり彼らは私の金を手にしたが、ビジネスの成功とインセンティブが実際には揃っていない」
このミスマッチが、より大きな問いを促したと彼は言う。
「なぜこんなに複雑なのか。なぜこれほど多くの人が無知なままなのか。影響力が本当にソーシャルキャピタルであり通貨なら、なぜ現金と同じように投資できないのか。アップサイドと引き換えに」
クリエイターエクイティへの構造化アプローチ
この概念をより実務的にするために、フロマーはクリエイターとの提携を3つの役割に分類する。アドバイザー、アンバサダー、共同創業者である。
アドバイザーについては、限定的だが構造化された関与を提案する。
「例えば0.25ポイントを渡す……月に1回、クリエイターのアドバイザリーボードに参加してもらう。責任は月30分だ」
アンバサダーは、より深いブランドとの整合を伴う。
「社員として扱う。月額の保証を与える。アップサイドも与える。アフィリエイトも付ける」
マイルストーンに基づくインセンティブについては、野心的な目標設定を推奨する。
「到達したら本人が望むものが解放されるような、途方もなく遠い、ばかげた目標を設定するんだ」
経営陣に近い働き方をするクリエイターの場合、経済条件は大きく変わる。
「あなたのInstagramを見に行ったら、『Owner of blank』と書いてある。私に本気でコミットしてほしいなら、それに見合う意味を持たせてほしい。事業の10%、20%、30%。すでに事業が1億ドルの価値があるなら2%でもいい。でも、本物のアップサイドをくれ」
AI、豊富さ、そして注目という希少性
オーナーシップをめぐる議論は、AI主導の起業の広がりを背景に進んでいる。
「AIは何百万人もの起業家を生み出し、彼らは皆、注目を奪い合うことになる」とフロマーは言う。
生成AIツールは、プロダクトの試作、ブランドデザイン、ECビジネスの立ち上げに要するコストと時間を減らしてきた。供給が増えれば、流通(ディストリビューション)はより価値を持つ可能性がある。
「この経済に残る最後の堀は、信頼と流通だ」と彼は言う。
この環境では、クリエイターは広告チャネルというより、流通のパートナーとして機能する。
「問題は、誰を信頼するかだ。Googleが私にとって正しいと言うことを知りたいのか。それとも、(アンドリュー・)ヒューバーマンが私にとって正しいと思うことを知りたいのか。私は彼の話を聞いてきた。彼の経歴も知っている。信頼している」
彼は、この力学が今後5年で提携構造を作り替えると考えている。
「卓越したストーリーテラーであり、同時にオペレーターでもあることは本当に難しい。それはユニコーンだ」と彼は言う。「しかし、AIツールによって何かを運用可能にする人は何百万人も出てくる……そして彼らは、それが存在することを人々に知ってもらうための助けが必要になる」
中間層の機会
クリエイターのオーナーシップをめぐる世間の語りは、セレブ主導ブランドや10億ドル規模のエグジットに焦点が当たりがちだ。だがフロマーは、より大きな機会は市場の中間層にあるかもしれないと主張する。
「1%のために取っておかれてきたものは、中間層へと民主化される必要がある。双方がその枠組みを使えるようにするためだ」と彼は言う。
彼によれば、エクイティへの参加はトップ層のクリエイターや機関投資家に限られるべきではない。
「なぜ、それが私たち残りの人間のためではいけないのか」
エクイティ型のクリエイター提携が主流になるかどうかは、まだ分からない。だが顧客獲得コストが上昇し、AIがプロダクト創出を加速し、オーディエンスが真正性を求める中で、#adから#ownerへのシフトは注目を集めつつある。
クリエイターエコノミーの最初の10年がリーチの収益化だったのだとすれば、次はオーナーシップの分配になるのかもしれない。
本記事は、私のポッドキャストThe Business of Creatorsでのジェフ・フロマーへのインタビューに基づいている。



