経営・戦略

2026.04.08 22:39

コーヒーキオスクで学んだ現場知を武器に 兄弟が立ち上げた個性的で急成長のチェーン

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ブレット・ラーソンとティム・ラーソンの兄弟が、病院内にコーヒーキオスクを開業しようと決意したとき、誰も話を聞いてくれなかった。2人は高校・大学時代、サウスマイアミ病院のキオスクで一緒に働いていた。当時ブレットは20歳、ティムは22歳だった。

そこで2人は祖母の古いフォード・エスコートに乗り込み、自動式シートベルトに体を固定されながら走り出し、フロリダ州のジャクソンビル、オーランド、タンパ、タラハシーの病院を回り、コーヒーキオスク運営の提案書を直接届けて歩いた。

「誰も会ってくれなかったので、直接オフィスに押しかけて自己紹介し、提案書を置いてくることにしたんです」とティムは振り返る。

幸運にも、フロリダ州ゲインズビルにあるフロリダ大学(UF)ヘルス(旧コミュニティ病院)がコーヒーショップを必要としていた。病院の経営陣は若き起業家たちにチャンスを与えた。2009年、2人は同施設のコミュニティヘルスセンター内にOpus Coffeeの1号店をオープン。ブレットが毎朝、ティムが毎午後のシフトを担当した。チップで生活しながら、事業拡大のために稼いだお金をすべて貯金した。最も大変だったことは何か。「休みを取れないことです」とブレットは語る。「店を開けなければならないんですから」

現在、Opus Coffeeはゲインズビルに10店舗を展開し、ケータリングサービスとオンラインストアも運営している。少量生産の地元焙煎コーヒーや、メキシコ産チリチョコレートを使った「マヤン・モカ」などのクラフトコーヒードリンクを求めて、目利きのコーヒー愛好家たちが熱心に通う店となった。黒字経営を続け、年間売上高は約500万ドル(約7億5000万円)、従業員は110人で約60%がパートタイムである。UFキャンパスとゲインズビルのダウンタウンの間に位置するSW 2nd Avenue店など、病院外の店舗にもフロリダ大学のキャンパスから安定した客足がある。

Opus Coffeeは、独立系コーヒーショップのブームの一翼を担っている。大手コーヒーチェーンが市場を支配しているにもかかわらず、このニッチ分野で成功を収めている中小企業は多い。米国内6万5697店のコーヒーショップのデータを追跡するコーヒーショップとコーヒー愛好家のコミュニティJoe Coffeeによると、独立系事業者の店舗数は年率3.2%で増加しており、これはスターバックスを上回るペースで、新規出店は年間12%増加している。

とはいえ、コーヒーショップの世界は競争が激しく、この家族経営ビジネスの創業者たちは市場でトップを走り続けるために懸命に働いている。「競争があるからこそ緊張感を保てますし、常に適応し、何が起きているかに注意を払い続けなければなりません。現状に甘んじてはいられないのです」と語るのは、ティムの妻で2021年に入社し、最高執行責任者(COO)を務めるケイティ・ラーソンだ。

Opus Coffeeの創業者たちが限られた予算で持続的なコーヒーショップブランドを築いた方法は次のとおりだ。

適切な拠点を確立する。Opus Coffeeの創業者たちは、最初の6店舗を病院内にオープンした。成功への道筋を確保するため、各施設内のスペースを長期契約で賃借した。

「病院から始めたのは賢明で、非常に幸運な決断でした。当時は自分たちでも気づいていませんでしたが、病院には固定客がいて、その市場への独占的な権利があるんです」とティムは語る。

その過程で、院内の募金活動を支援したり、3つの病院で新しい部屋の建設をスポンサーしたり、全国看護師週間を祝うコーヒースリーブを印刷するなど、細やかな心配りで病院コミュニティとの強固な関係を築く方法を学んだ。

リソースを慎重に投資する。Opus Coffeeのオーナーたちは、病院内でキオスクを運営することと、路面店を運営することがまったく異なることを、初めての独立店舗に挑戦して痛感した。UFキャンパスの向かいに店をオープンしたとき、その地域にあるスターバックスやダンキンドーナツとの激しい競争に直面したのだ。利益を出すのが難しいと悟り、6週間以内に閉店した。

これは貴重な教訓となった。「病院の外に出店するときは非常に慎重になります。私たちはリソースが限られた中小企業ですから」とティムは言う。「リスクが低く、リターンが高い立地を探しています」

サプライヤーとの絆を大切にする。Opus Coffeeは、コーヒーを栽培する農家との強固な関係を築き、多様な輸入業者のネットワークと提携している。オーナーたちはグアテマラなどの農園を訪問し、業界の人脈や展示会を通じて紹介された農家と直接会う機会を設けている。

Opus Coffeeは限られた数の農園と取引しており、それによって細部への目配りや品質管理をより徹底できる。気に入った農園が見つかれば、サプライヤーが生産を維持できるような取引条件を取り決める。「コーヒーにはプレミアムを支払い、栽培者や農家がきちんと報われるようにしています」とティムは語る。

こうした関係は、関税問題やブラジルの干ばつがある中で、特に最近価値を発揮した。「コーヒーの入手がかなり困難でした」とティムは言う。「他の人たちが手に入れられないときでも、私たちはコーヒーを確保できました。農家、栽培者、輸入業者との関係がなければ、もっと大変なことになっていたはずです」

地域との強いつながりを最大限に活かす。Opus Coffeeの創業者たちは20年間ゲインズビルコミュニティの一員として、多くの募金活動に積極的に参加してきた。「子どもたちもゲインズビルの学校に通っています」とブレットは言う。「私たちは徹底的にゲインズビル中心主義です。それを強く打ち出しています。スターバックスにはできないことです。ダンキンにもできません。そこが私たちの強みなのです」

創業者たちはブランドを成長させる中で、地域開発にも関わるようになった。1976年製のエアストリームバスというランドマーク内にあるOpus Coffeeの店舗は、約10年前に購入した、かつて雑草が生い茂りゴミが散乱していた2つの土地をつなぐ存在となっている。

10年かけて断続的にこれらの土地を整備し、SW 4th Streetに屋外フードパークを作り上げた。人の流れを呼び込むため、建物を改装しながら、地元のファーマーズマーケットで職人的な食品を販売していた業者を招いて出店してもらった。現在、手作りの朝食ペストリーで知られる家族経営のBaker Baker、ソーセージメーカーのFehrenbacher's Meats & Eats、Humblewood Fire Bagel Shop、Munecas Taco Garden and Bar、Square House Pizzaなどが入居している。「当時はビール瓶をたぶん1000本拾って、それで全体を造園しました」とティムは振り返る。多くの人が知らない話だが、ゲインズビルの多くの人々にとって街の暮らしの一部となっているブランドを築く上で、重要な一歩だったと彼は語る。

forbes.com 原文

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