マイケル・セイラーは6年をかけて、Strategy(旧MicroStrategy)を、業界外ではほとんど注目されていなかったエンタープライズソフトウェア企業から、世界最大の企業ビットコイン保有者へと変貌させた。総保有量は76万2000BTC超で、価値は数百億ドルにのぼる。
きょうニューヨークで開催された「Digital Asset Summit」でセイラーは、現在のサイクルにおける決定的な機会だと位置づける「デジタルクレジット」について語った。中核となる手段はSTRCで、「Stretch(ストレッチ)」の愛称で呼ばれる優先株の発行である。Strategyはこれを、暗号資産の世界では異例の、低ボラティリティで高利回りの金融商品として位置づけ、債券などのインカム資産ポートフォリオに組み込むことを想定して設計した。想定元本は50億ドル、日次平均の流動性は2億2400万ドルで、すでに機関投資家規模で取引されている。
「デジタルクレジット……これは世界で最も魅力的な信用商品だ」と、登壇後に彼は私に語った。「シャープレシオ4のものが作れるなら、あらゆるポートフォリオに入るべきだ」
機関投資家の資金は、規制された投資手段を通じてビットコインへと戻りつつあり、米国の現物ETFは年内最長の資金流入の連続記録を更新している。だがそれでも、米国の助言型資産における暗号資産の配分は0.5%未満にとどまる。セイラーが埋めようとしているのは、このギャップだ。利回りを求める投資家にとって、債券並みのボラティリティで2桁のリターンを狙えるビットコイン担保型の金融商品は、これまでとは異なる話になる。
壇上でセイラーは、3層のスタックによる基本フレームワークを提示した。デジタルエクイティが高いボラティリティを伴いながら上昇余地を取り込み、デジタルキャピタルが中間に位置する。彼のチャートで最もフラットな線として描かれたデジタルクレジットは、ほぼゼロのボラティリティで構造化された利回りを提供し、下層にあるビットコインが値上がりする間も安定して保有できるよう設計されている。ボラティリティ比較のスライドはその点を視覚的に示した。STRCは債券、S&P 500、金、マイクロソフト、Google、そしてビットコイン自体よりも低い水準だった。
「STRCはいま、トップクラスのシャープレシオを持っている」と彼は述べた。「上場有価証券の中で最高かどうかは分からないが、そうでないとしても上位1%、いや上位0.1%に入る」
批判的な見方もある。STRCの利回りが持続可能なのか、あるいはビットコイン価格の継続的な上昇とStrategyが有利な条件で資金調達を続けられることに依存しているのではないか——下落局面では脆弱になりかねないモデルではないかという疑問だ。
セイラーのメッセージは、ビットコインの価格動向をはるかに超えて進化している。彼が描く次の局面は、金融工学である。伝統的な信用商品と同じ土俵で競争できるプロダクトを構築することだ。
「未来は不確実性と課題に満ちているが、人類はそれを乗り越えると私は信じている」と彼は語った。「悲観主義者なら変化が自分を傷つけると考える。楽観主義者なら変化が自分を助けると考える」
不確実性のただ中にあっても、彼の見通しは一貫して楽観的だ。「人類の歴史の中で、いまほど世界が良かった時代があっただろうか。これほどあらゆるものが豊かな時代が、いつあったのか」と彼は付け加えた。



