SMALL GIANTS

2026.04.20 14:30

日本発スーパーフード・サツマイモの可能性「僕らは食文化を世界に売りに行く」

奈良迫洋介|くしまアオイファーム

宮崎大学と共同で開発を進めているサツマイモの突然変異種。実験データでは、元品種である「べにはるか」よりも「サツマイモ基腐病」に抵抗性を示す傾向が確認されており、ポリフェノールの含有量も豊富。
宮崎大学と共同で開発を進めているサツマイモの突然変異種。実験データでは、元品種である「べにはるか」よりも「サツマイモ基腐病」に抵抗性を示す傾向が確認されており、ポリフェノールの含有量も豊富。

近年、南九州で流行している「サツマイモ基腐病」に対抗するため、宮崎大学と共同で新品種の開発を進めている。これには病害対策以上の意味がある。かつてベトナムでのサツマイモの現地生産に挑戦した際、自社の独自品種をもたない弱さを痛感した奈良迫は、新品種をつくることで新たなビジネスへの転換を狙っているのだ。「サツマイモそのものよりも、サツマイモの権利や知財をビジネスの核にする方向にかじを切りたい。品種登録がすべてのトリガーになる」と、海外へのライセンス展開を見据えた戦略を語る。奈良迫には参考にしているビジネスモデルがある。ニュージーランドのキウイフルーツ生産・販売大手、ゼスプリだ。自社で品種を開発し、グローバルで通年販売する仕組みを、サツマイモで再現しようとしているのだ。

advertisement

小売りについては、沖縄で事業承継したサツマイモ専門のカフェ「KOHAKUIMO」を皮切りに、海外での店舗展開も視野に入れている。マーケティングのために、ニューヨークやロサンゼルスの街頭で日本の焼き芋を販売すると、最初は敬遠していた人々が、試食をした途端にそのおいしさに驚き値段も見ずに買っていくという。

「米国ではスイートポテトというと、『ステーキに添えられた、甘ったるい蜜のかかったイモ』という印象で、はっきりいっておいいしくない。このイメージを日本の焼き芋文化で上書きして、ブランドにまで高めていきたいと思っているんです」

川上、川中、川下がつながって初めて全体の収益性が上がっていく。日本の農業を、知財とブランドで世界を席巻する強いビジネスモデルに進化させる奈良迫の挑戦は、まだ緒に就いたばかりだ。

advertisement

奈良迫洋介◎1982年生まれ、鹿児島県出身。くしまアオイファーム代表取締役社長。インド現地企業、都内貿易商社を経て2016年入社。ベトナム駐在やVCからの資金調達を経験し、2020年より現職。宮崎大学大学院博士後期課程で、サツマイモのポリフェノールに着目し、品種開発を目指す。ナフィールドジャパン理事。

文=中居広起 写真=アーウィン・ウォン

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事