経営・戦略

2026.04.08 09:30

ユニバーサル・ミュージックが株価急騰、10兆円で米投資家が買収提案

Graham Denholm/TAS24/Getty Images for TAS Rights Management

Graham Denholm/TAS24/Getty Images for TAS Rights Management

テイラー・スウィフトやケンドリック・ラマーなどを擁する世界最大級の音楽レーベル、ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)の株価が米国時間4月7日早朝に急騰した。同日、著名投資家のビル・アックマン率いるパーシング・スクエアは、UMGに対し評価額約640億ドル(約10.2兆円。1ドル=159円換算)で買収提案を行っていた。

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パーシング・スクエアが約10.2兆円の買収提案、UMGの株価が急騰

パーシング・スクエアがUMGへの買収案を発表してから数時間後の米東部時間7日午前9時時点で、UMGの株価は10%高と急騰している。

パーシング・スクエアは、ユーロネクスト・アムステルダム証券取引所に上場するUMGに対し、1株あたり30.40ユーロの評価額での買収を提案した。さらに、UMGの株主に対して合計94億ユーロ(約1.7兆円。1ユーロ=185円換算)を現金で支払うとしている。

この取引により、UMGはパーシング・スクエア・SPARC・ホールディングスと合併し、メインの上場先をユーロネクスト・アムステルダムからニューヨーク証券取引所に移転することになる。

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アックマンは買収の理由について、UMGのニューヨーク上場延期、億万長者ヴァンサン・ボロレが18%の株式を保有することに伴う不確実性、現金・資産を眠らせたままのバランスシートの活用不足、不十分な投資家向け広報(IR)などの問題を挙げ、「音楽事業の業績とは無関係な一連の問題により、株価が低迷している」と指摘した。

提案された計画には、UMGのルシアン・グレンジCEOのために用意した新たな雇用契約と報酬制度が含まれている。またアックマンは、取締役会の「刷新」を表明し、クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシーの共同創設者で元会長のマイケル・オーヴィッツを新会長に迎え、パーシング・スクエアから2名を派遣するほか、現職のUMG取締役からも新しい取締役を選出するとしている。

アックマンによれば、買収にかかる現金費用は、パーシング・スクエアが持つ約29億ドル(約4611億円)、負債で調達する62億ドル(約9858億円)、およびUMGが保有するスポティファイ株の売却資金17億ドル(約2703億円)によって賄われる予定だ。

2021年には断念──アックマンがUMGに固執する理由

アックマンは2021年にも特別買収目的会社(SPAC)を通じてUMG株の10%を取得しようとしたが、規制当局の反発を受けて断念した経緯がある。その後、パーシング・スクエアを通じて10%の株式を購入し、2025年に他の業務を理由に辞任するまで同社の取締役を務めていた。

取締役在任中、アックマンはニューヨークへの上場を強く推進しており、2024年には「米国に主要上場先がないことが主な要因で、本来の価値に対して大幅に割り引かれて取引されており、流動性も限られている」と述べていた。アックマンは7日朝、自身のXアカウントに投稿した資料の中で、UMGの株価が2年前のピークから39%下落し、「史上最低値付近で取引されている」と指摘した。

最大の障壁は18%の株式を所有するボロレ、アナリストが早くも否定的見解

スクエア・グローバルのアナリスト、ニコラ・マルムレクはブルームバーグに対し、18%の株式を所有するボロレが買収を支持しない限り、この提案は「最初から行き詰まっているように見える」と語った。「ボロレがこのような条件を受け入れるとは考えにくい。もし彼が同意していれば、この取引をすでに推奨しているはずだ。今回の動きは、パーシング・スクエアによる株主への提案という面が強い」とマルムレクは分析している。

パーシング・スクエア創業者のビル・アックマンとは

アックマンの推定資産額は約89億ドル(約1.4兆円)で、彼は世界で377番目の富豪とされている。現在200億ドル(約3.2兆円)の運用資産を持つパーシング・スクエアは2004年に設立された。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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