欧州

2026.04.08 08:00

中東情勢の混乱で試されるセルビアと中国の関係

中国・北京で会談した同国の習近平国家主席(右)とセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領。2019年4月25日撮影(Kenzaburo Fukuhara/Kyodo News - Pool/Getty Images)

中国・北京で会談した同国の習近平国家主席(右)とセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領。2019年4月25日撮影(Kenzaburo Fukuhara/Kyodo News - Pool/Getty Images)

イラン情勢と国際エネルギー市場の不安定化は、セルビアの多角的な外交政策の限界を試しており、同国が東西間の均衡をいつまで維持できるのかという疑問を投げかけている。

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セルビアは長年にわたり、欧州連合(EU)、米国、ロシア、中国との「4本柱」外交を推し進めてきた。だが、国際情勢の不確実性が高まる中、セルビアにとっては中国が最も安定的で予測可能なパートナーに見えるかもしれない。

EUの後退に乗じる中国

セルビアは2012年からEU加盟候補国となっているが、国内での法の支配の後退やEUの対ロシア制裁への協力を拒否していること、そしてコソボとの関係正常化が遅れていることから、加盟交渉は停滞している。

英ロンドン大学キングスカレッジで外交政策を専門とするブク・ブクサノビチ博士は、この加盟交渉の停滞が空白を生み出したとみている。「EUがバルカン半島を軽視してきたこと、そしてセルビアのEU加盟の見通しが非現実的であることから、同国にとって中国がこれほど魅力的な国になっているのだ」

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セルビアと中国の関係の基盤は経済協力だ。中国は過去10年間で、主に国営企業や社会基盤整備計画を通じて、セルビアに50億ドル(約8000億円)以上を投資してきた。EUの融資とは異なり、中国の融資は通常、条件が少なく透明性も低い。他方で、中国企業によるセルビアへの投資は、労働法や環境法、土地利用法を順守していないとして注目を集めている。

2024年に発効した自由貿易協定により、商品の約90%に対する関税が撤廃され、昨年半ばまでに両国間の貿易額は74億ドル(約1兆1800億円)に達した。だが、2国間の貿易は一方的な関係に終始している。主に中国系企業によってセルビアで採掘される銅は、同国の対中輸出の95%近くを占めている。セルビアの首都ベオグラードに拠点を置く非営利組織「責任ある社会のためのBFPE財団」のステファン・ウラジスラウジェフは、「両国間の取引は、中国にとって即効性のある利益をもたらしている一方で、セルビアにとっての具体的な利点は限定的かつ不透明なままだ」と指摘した。

両国は防衛面でも協力を拡大している。セルビアは先月、欧州の国として初めて中国の超音速ミサイルCM400AKGを購入した。これについてセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領は、中東情勢の不安定化に対する対応だと説明した。

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翻訳・編集=安藤清香

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