3. 経済的不安の解消が組織のパフォーマンスを高める
不安を抱えたままのチームが、最高のパフォーマンスを発揮することは難しい。経済的なストレスは、会議や締め切り、意思決定にまで影響を及ぼす。
調査によれば、従業員の約70%が経済的な不安を抱えており、そのウェルビーイングは生産性やエンゲージメント、離職率に直結している。将来の経済状況に不安を感じるほどエンゲージメントは低下し、生産性は落ち込み、離職率は上昇する。もはや給与だけでは、十分な安心を提供することはできない。
そこで重要になるのは、必要な支援に誰もがアクセスできる仕組みだ。こうしたアプローチは、他の分野では既に取り入れられている。例えば、遠隔医療は受診の障壁を取り除き、必要な時に支援を受けられる環境を整えることで、成果を上げてきた。この原理は、組織内部にも当てはまる。従業員が財務的な助言へ容易にアクセスできるようになれば、組織としてのパフォーマンスは確実に向上するはずだ。
こうした局面でこそ、制度として仕組みを設計する発想が大きな強みとなる。個々のニーズに即した金融教育や1対1のガイダンスを提供することで、従業員は「意図」を具体的な「行動」へと移すことができるようになる。長期的な目標への道筋がより明確になることで、行動をためらわせていた不安や迷いも軽減されていく。
クイーンは次のように話す。「従業員に、個々の目標に即した資産形成の指導を提供することは、彼らに将来への自信を与える。その自信は、日々の働き方や定着率に表れてくる」。
この影響は、最初は些細な形で現れる。まず、チームの集中力が高まり、意思決定の質が向上する。こうした小さな変化が積み重なり、従業員のエンゲージメントやロイヤルティが高まり、会社の成功により深く関与するような企業文化へと発展していく。
事業の成長は、それまで見過ごされてきた弱点をあらわにすることがある。創業初期には十分に機能していたシステムも、気づかぬうちに企業の成長を制約してしまう場合がある。
早い段階で永続的な経営基盤を構築するという思考へ移行した創業者は、プレッシャーに耐えうる企業を築く傾向がある。彼らはリスクを低減し、より優秀な人材を惹きつけ、従業員が最大限の力を発揮できる環境を生み出す。
会社をスケールさせるとは、単に規模を拡大することではない。それは、次の成長段階を支えうる組織を築くことにほかならないのだ。


