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2026.04.07 14:36

AIの成長を阻むのはGPUではなく電力だ──ITインフラが解決の鍵を握る

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シーラ・ローラ(Sheila Rohra):Hitachi Vantara CEO

つい最近まで、AIの成長をめぐる議論は、ほぼ計算能力とGPUの可用性に集中していた。しかし、今浮上している真の制約はシリコンの問題ではない。電力の問題である。

コンピュートは依然として重要だ。ただ、コンピュート不足は電力不足の結果として生じており、必要な計算能力を追加するためにGPUを比較的短期間で購入できる場合が多い一方で、電力は同じスピードでは動かない。AIデータセンターにメガワット単位の電力を同じ速さで追加することはできないのだ。さらに悪いことに、こうした懸念から、AIデータセンターの建設業者は必要なスピードで政府の許認可や相互接続の承認を得られなくなっている。

AIの利用が拡大するにつれ、データセンターはエネルギー使用と送電網への影響に関する議論の焦点となってきた。しかし、その焦点はより広範なシステム課題を見落としがちである。デジタル需要は、それを支えるために設計されたエネルギーインフラよりも速いペースで成長しているのだ。

AIデータセンターは、経済成長の推進、国家安全保障の強化、将来の競争力確保に不可欠とされている。しかし、データセンターが電力網や地域資源に与える影響への懸念——停電や電圧低下を引き起こす可能性——が、地域社会からの反発を招き始めている。

2025年5月の報告書によると、2023年以降、640億ドル相当のデータセンタープロジェクトが阻止または遅延しており、2026年のSNS投稿では、1月だけで25のデータセンターがキャンセルまたは延期されたと示されている。これは劇的な数字だ。

データセンターは電力を大量消費し送電網に負担をかける悪役として描かれがちだが、より大きな視点で見ると、世界のエネルギーインフラがデジタル需要と同じペースで進化していないことが問題なのだ。IT技術を活用した最新のエネルギーインフラは、このギャップを埋める役割を果たすことができる。

新たな電力オプションを再考し、活用する

AIデータセンターが既存のデータセンターよりもラックあたりの電力消費量が多いことは多くの人が知っている。加えて、AIの需要は従来のデータセンターよりもはるかに変動が激しい。予測可能で信頼性が高く効率的なエネルギーシステムを最初から設計することで、こうした特性により持続可能な形で対応できる。

だからこそ、ハイパースケーラーをはじめとするAIデータセンターへの投資家たちは、メーター裏(behind-the-meter、施設内に設置する独自電源)の電力を模索し、場合によっては採用している。具体的には、小型モジュール炉(SMR)原子力発電所の運転期間延長、その他の形式のオンサイト発電、そして新種の蓄電池技術などだ。

しかし、ユーザーの需要を満たすために、電源をAIデータセンター内に設置したり、特定の場所にデータセンターを建設したり、特定の地域でAIワークロードを実行したりする必要はない。相互接続された世界では、エンドユーザーがいる場所ではなく、電力が利用可能な場所へデータを移すことができる。

AIワークロードをオーケストレーションするインテリジェントシステムの導入

ここから本当に戦略的な話になる。持続可能な未来を支えるアーキテクチャを構築するために、エネルギー効率の観点からデータセンターを設計するのだ。

ITをコントロールプレーン(制御層)として活用することで、組織はAIワークロードを異なる環境や場所にまたがってよりインテリジェントにオーケストレーション(統合管理)できる。複数拠点での運用において、この基盤があれば、キャパシティ、パフォーマンス要件、運用上の制約に基づいて、データやAI処理をどこで実行するかを調整しやすくなる。

ストレージの最適化によるパフォーマンス向上とエネルギー・コスト削減

ITラックインフラの設計も、エネルギーコストの削減、より少ないエネルギーでより多くの成果を出すこと、そして送電網への負荷軽減において重要な役割を果たす。より高いエネルギー効率を実現するよう設計された技術を選択し、データの保存と移動の方法を最適化することで、パフォーマンスを犠牲にすることなく全体的な消費量を削減できる。

さらに、より効率的なデータ移動とストレージは、無駄なエネルギーを減らし、実際に使用可能なAI処理量を増加させる。メモリ階層化を改善することで、不必要なデータ移動を最小限に抑え、無駄を削減し、メガワットあたりのAI出力を最大化できる。

最新のストレージ機能は、電力消費、コスト、CO2フットプリントを削減でき、コンプライアンス対応にも有効だ。動的炭素削減機能は、低活動時に自動的にコンピュートをエコモードに切り替える。常時オンの圧縮機能は、インラインでのデータ削減から後処理への切り替えを行う。

AI、インテリジェントITインフラ、エネルギーの融合によるレジリエンス構築

電力とコストの節約に加えて、効率性とよりスマートなインフラ設計は、レジリエンス(回復力)と信頼性を向上させることができる。

インテリジェンス、柔軟性、レジリエンスをコアに据えて構築されたAIデータセンターは、エネルギーエコシステムにおける安定化の力として機能し得る。効率を向上させ、可視性を高め、環境をまたいだよりスマートなデータ配置を可能にするITインフラがあれば、AIはエネルギー使用をリアルタイムで最適化し、需要を予測し、業界全体でより持続可能な運用を支援することで、電力管理に寄与する可能性が高い。

これを実現するには、コンピュート、ストレージ、ネットワーク、電力、冷却にまたがる機能と、データセンター環境全体でこれらのリソースを調整する運用モデルが必要である。

forbes.com 原文

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