宇宙

2026.04.07 12:30

オリオン宇宙船、月裏側の「肉眼観測」に成功 人類到達の最遠記録を40万6773kmに更新

月の裏側へ回り込むオリオン宇宙船 (c)NASA

月の裏側へ回り込むオリオン宇宙船 (c)NASA

4月7日(※日時はすべて日本時間)、クルー4名を乗せたオリオン宇宙船が、月の裏側を周回(フライバイ)することに成功した。その際、過去に人類が到達したことのない、地球から最遠のポイント40万6773km(その後、出たリリースによれば厳密には40万6771km)を通過し、アポロ13号が記録した40万171kmを56年ぶりに更新した。

advertisement

また、これまでに人類が肉眼で見たことのない月裏側の特定エリアを詳細に観測することにも成功した。その成果は今後、月資源の探査、有人着陸地点の選定、月面望遠鏡の設置場所の選定など、月面開拓におけるさまざまな用途に活かされる。

初めて肉眼で見た月裏側の特定領域

4月7日、オリオン宇宙船は月フライバイを実行した。月フライバイとは、月の重力を利用して宇宙船の軌道を変更する航法のことだ。今回クルーはそのオペレーション中、主に4つのイベントを体験した。月裏側の肉眼による観測、人類最遠ポイントへの到達、地球の「入り」と「出」の観測、そして皆既日食の観測だ。

4月7日の3時45分ごろ、オリオンのクルーは月面観測を開始した。アポロ宇宙船の場合は高度100~315km程度で月を周回したが、オリオンの月への最接近高度は約6400kmと高い。そのため月裏側の広域を見渡せた。

advertisement
オリオン宇宙船が月裏側の20%を観測。このシミュレーション画面の中央にはオリエンタル盆地が見える。この巨大な衝突盆地の直径は900km以上におよぶ (c)NASA
オリオン宇宙船が月裏側の20%を観測。このシミュレーション画面の中央にはオリエンタル盆地が見える。この巨大な衝突盆地の直径は900km以上におよぶ (c)NASA

今回のミッションでNASAは、月裏側の主要ポイントを観測するために最適な軌道と通過時刻を設定していた。フライバイの際、オリオンから見ると月裏側の約20%に太陽光が斜めに差し込む。三日月状に輝くその領域では、クレーターのエッジや尾根の影が伸びる。そのため地形を明瞭に確認することが可能だった。人類がはじめて肉眼で見るこのエリアには、オリエンタル盆地のほか約30のターゲットが含まれていた。

さらにクルーは、その他80%を占める夜のエリアにもカメラを向け、宇宙デブリが月面に衝突した際に発生する「衝突閃光」を探索した。月の地平線上に舞い上がった塵が太陽光に照らされる様子も観測対象とされた。

「地球の入りと出」と「皆既日食」

画面右の地球が月に隠れようとしている。オリオン宇宙船はこの機体姿勢のまま画面左手の月裏側へと進む (c)NASA
画面右の地球が月に隠れようとしている。オリオン宇宙船はこの機体姿勢のまま画面左手の月裏側へと進む (c)NASA

7時44分ごろ、オリオン宇宙船は地球から完全に見えない月裏側に回り込んだ。このときクルーは月の地平線に沈む地球を観測した。つまり「地球の入り」だ。これと同時にオリオンと地上局との通信が途絶。これは予定された行程であり、その間もクルーによる観測は継続された。

8時過ぎにオリオンは、月面からの最接近ポイントを高度約6400kmで通過。その5分後には地球から最遠のポイントに到達し、8時25分ごろには月地表から地球が昇る「地球の出」を観測した。同時に地上局との交信も回復した。

次ページ > 太陽が月の影に隠れる瞬間。オリオン宇宙船からは皆既日食として観測

編集=安井克至

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事