その他

2026.04.07 07:00

イランと米国の戦闘を終結させる3つのシナリオ

イランの首都テヘランの市街地で、米イスラエル軍の攻撃を受けて立ち上る煙。2026年3月28日撮影(Getty Images)

イランの首都テヘランの市街地で、米イスラエル軍の攻撃を受けて立ち上る煙。2026年3月28日撮影(Getty Images)

2月28日に米国とイスラエルが行った空爆を受け、イランは即座に反応し、中東各地のエネルギー施設や淡水化プラントなどの非軍事施設を攻撃するとともに、ホルムズ海峡を事実上封鎖した。この重要な海峡の封鎖は、筆者を含む安全保障の専門家らによってかねてより予測されていた。筆者は2007年の議会証言で、イラン政権の意図について警告を発していたが、それでも今回の封鎖で市場には衝撃が走った。中東の危機が2カ月目に入ると、原油価格は1バレル約70ドルから110ドル強へと急騰した。

事態は好転する前に、さらに悪化する可能性が高い。攻撃開始前に生産された石油の残りが依然として流通・精製されているため、経済的衝撃の本格的な影響はまだアジア諸国には及んでいない。米国のドナルド・トランプ大統領は5日、イランがホルムズ海峡を通る船舶への妨害を続ける場合、同国のエネルギー施設や油田、橋を破壊すると改めて警告した。これに先立ち、イランは先週トランプ大統領が提示した15項目の停戦案を「過激で理不尽」であり「紙の上でさえも美しくない」と拒否していた。

アナリストらは地域の安定や国際エネルギー市場への悪影響を懸念している。ペルシャ湾周辺の石油・天然ガスの生産は、イランによる攻撃やホルムズ海峡の実質的な封鎖の影響を受けており、これが原油価格の上昇を招いている。米国の目的には、イランの核開発計画を阻止し、弾道ミサイル能力を制限することが含まれているが、イランは自国の核開発計画が平和利用に向けたものであると虚偽の主張を続けている。

トランプ大統領は、ペルシャ湾岸地域への地上部隊の派遣により選択肢を広げておく一方で、高官らを交渉の席に戻し、イランのエネルギー施設に対する空爆を米東部時間7日午後8時まで一時停止すると発表した。時は刻々と過ぎていく。イラン側に譲歩する気はないようで、ホルムズ海峡の安全な通過に対して通行料を徴収し始め、その支払いを中国人民元で受け入れている。

この紛争がどのように終結するかは、国際エネルギー市場にとって極めて重要だ。だが、紛争とは不透明なもので、本稿で提示するシナリオは予測や経験に基づいた推測に過ぎない。状況は刻一刻と変化しており、正確に予測できることは何1つない。

シナリオ1 戦闘の激化

トランプ大統領は、イランが屈服するか、あるいは政権が崩壊するまで同国への圧力を維持し、戦闘を長引かせる可能性がある。イラン革命防衛隊は先ごろ、トランプ大統領の「ばかげた言動」を理由に、ホルムズ海峡を再開しないと宣言した。同大統領は圧力を強めるために、イランのカーグ島をはじめとするペルシャ湾の島々を占領しようとする誘惑に駆られるかもしれない。

ペルシャ湾北部に位置するカーグ島は、長年にわたりイランの主要な石油積み出し拠点となっている。同国の石油輸出の約9割はカーグ港を経由している。イランは歳入の約半分を石油・天然ガスに頼っているため、この島の情勢を不安定化させれば、同国に多大な打撃を与えることになる。米政府は先月下旬、世界のエネルギー価格を安定させるため、イランに対する制裁を緩和した。カーグ島での軍事的な緊張の高まりは、エネルギー市場が既に大きな打撃を受けているこの時期に、石油供給量を減少させることになるだろう。

次ページ > 米国が勝利を宣言して撤退するシナリオも

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事