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2026.04.07 07:00

イランと米国の戦闘を終結させる3つのシナリオ

イランの首都テヘランの市街地で、米イスラエル軍の攻撃を受けて立ち上る煙。2026年3月28日撮影(Getty Images)

シナリオ3 条件付きの停戦

イランが譲歩を拒む姿勢は、最終的には交渉の成功につながり、ホルムズ海峡の再開に向けた合意に至る可能性がある。トランプ政権は既に、イランの石油備蓄に対する制裁を緩和して国際市場への供給量を増やすことを検討しており、今のところ、石油輸出制限などの過激な措置は除外している。

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複数の国が、米国とイランの交渉の仲介役を務める意向を示している。パキスタンは両国を平和的解決へと導き、中立的な仲介役を務めるべく、取り組みを強化している。中国は以前、米国とイランの外交的解決を促す取り組みを全面的に支持すると表明していた。中国とパキスタンの外相は、ホルムズ海峡の再開に向けた5項目から成る取り組みを発表した。これには、サウジアラビア、エジプト、トルコが賛同した。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は週末、ペルシャ湾岸諸国が受け入れられる安全保障理事会決議案をまとめるべく、各国の首脳らと電話会談を行っていた。

米国がイランへの攻撃を開始する以前、ホルムズ海峡を通過する石油の量は世界全体の消費量の約2割に相当する日量約2000万バレルに達していたため、同海峡の封鎖は前例のない混乱を引き起こした。市場が多様な供給源を模索しているにもかかわらず、原油価格は依然として中東情勢に敏感に反応しており、トランプ大統領が戦闘の終結を示唆した際には1バレル100ドル前後まで下落したが、攻撃を継続すると宣言した際には反発した。このシナリオでは、エネルギー供給に関する当面の懸念は解消されるだろう。

勝者と敗者は、どのような和解案がまとまるかによって決まることになる。原油価格は政治的なリスクが織り込まれることで、かつての水準へと徐々に戻っていくとみられるが、その水準は攻撃前より若干高くなるだろう。市場が供給源の多様化を模索しているとしても、中東の産油国は国際的なエネルギー価格に対して依然として大きな影響力を維持することになるだろう。

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ロシアは原油価格高騰の恩恵を受け、中国は輸入の円滑化による利益を得ることになるだろう。そして両国は、同盟国を守り切れず、イランに核開発の野心を放棄させることもできなかったとして、米国を非難するだろう。一方、米国は、空爆によってイランの核開発計画の大部分を破壊し、同国の軍事力を大幅に削減したとして、勝利を宣言するかもしれない。

どのような結末を迎えるのか

イランでの軍事的な緊張の高まりが長期化すれば、国際エネルギー市場の変動は続きそうだ。主要な石油輸入国は、政治的に不安定な地域への依存を減らし、信頼性の高い供給源への転換に向けた取り組みを加速させるだろう。これにより、中東の海運ルートに依存していない産油国の重要性が高まることになる。一方、交渉による合意が成立したとしても、イランの政権が残っている場合、中東産原油の価格プレミアムは事実上、世界経済に対する課税となり、成長を鈍化させることになるだろう。

もしイランが決定的な敗北を喫すれば、国際市場への石油供給が回復し、ホルムズ海峡が完全に再開されることで原油価格は下落する見込みで、今年第3四半期から第4四半期にかけて、世界は通常の状態に戻るものとみられる。米国は航行の自由を守り、世界の貿易ルートを確保する上でも、規則の策定者としての役割を果たし続けるだろう。

ロシア革命の指導者レフ・トロツキーは、「戦争とは歴史を動かす偉大な原動力だ」と述べた。中東での紛争がどのような結末を迎えようとも、この危機は国際エネルギー市場、経済成長、そして国際安全保障に長期にわたる影響を及ぼすことになり、それが引き起こす戦略的転換は今後数年から数十年にわたって続くことになるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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