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2026.04.09 14:15

過集中、細部への注目──「デジタル人材不足の突破口は「発達特性」にあり【隠れた知性を解き放て ♯2】

Antonina Sozonova / Getty Images

こうした発達障害がある人が活躍している事例は、海外で複数見られる。英金融機関のHSBCでは、APAC(アジア太平洋地域)の最高情報セキュリティ責任者がADHDを公表している。彼は、サイバーセキュリティには「細部への注目」が必要であり、さらにADHDの特性のひとつ、「他者と違う考えをする点」が強みとなっているという。

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サイバー攻撃は、通常より少しだけ多い通信量や1回だけの不審なログインなど、一見、普通を装い、目立たないかたちで進行する。そのため攻撃の予兆を捉えるには、単なる異常検知ではなく「当たり前を疑う」視点が欠かせない。小さな違和感や一見、無関係な事象を結び付け、安易な説明に流されない「他者と違う思考」こそが、重大な被害を未然に防ぐ力となる。

別の発達障害の診断名であるASD(自閉スペクトラム症)の典型的特性のひとつには、「細部への注目」がある。IBMではASDのホワイトハッカーが活躍しており、同特性に加え、脆弱性診断などで求められる反復的なタスクへの適応も強みとして生かしているようだ。

不得意が隠す、得意の芽

発達障害がある人は、不得意なことや特定の状況のために、得意なことまでできなくなってしまうことが多いとされる。翻れば、それらを回避したり、カバーしたりできる環境さえあれば、得意を発揮できるということだ。

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ASDの典型的な不得意な状況として、特定場面でのコミュニケーションが挙げられる。例えば、あいまいな指示を受け取ることや、雑談などの目的が不明瞭な会話だ。このような不得意に対しても、明確な指示や雑談の目的を提示する(例:「あなたの関心事が知りたい」と伝える)ことにより、高いパフォーマンスを出せるようになることもある。そのほかにも、先のロンドン大学バークベック校による調査では、特に役立つ配慮事項として、「柔軟なスケジュール」や「リモートワーク」を選択できることが上位に挙げられている。

海外の先進企業では、発達障害がある人への配慮を明示している。例えば応募段階から、配慮してほしいことを本人から伝えやすくする環境を整えている。

こうした配慮は、欧米企業で一般的に取り入れられている専門職採用(ジョブ型採用)との相性が良い。成果を出すことを前提に、就業の時間や場所などについて柔軟性が確保できるからだ。一方、多くが総合職採用(メンバーシップ型採用)を行う日本企業では、事情が異なる。

総合職では多岐にわたる職務や能力を求められたり、異動や転勤があったりと、社員が主体的に環境を選択することが難しくなるからだ。そのため、発達障害がある人にとって配慮や整った環境のある職場が、限られてしまう現状がある。日本企業でも、ジョブ型採用が取り入れられ始めているが、まだ一部にとどまっている。

195項目の分析で見えた、環境整備「ほぼ完了」の現実

日本総研は、発達障害がある人やその傾向がある人の高度・先端IT領域での活躍機会創出を目指す企業グループ、「ニューロダイバーシティマネジメント研究会」を主催している。2024年11月、同研究会において、発達障害がある人が能力を発揮しやすい職場環境を整備できるかどうか、研究会の参加企業2社を対象に、サイバーセキュリティの2職種を例として実験的に分析を行った。

具体的には、比較的、難易度が低いとされる脆弱性診断と、高い専門性が要求されるペネトレーションテストの2職種について、サイバーセキュリティ事業を展開する企業2社にヒアリングを実施。その上で、発達障害がある人が得意に注力できる環境があるか、なければそれが可能になるように職務内容を柔軟に調整できるかについて、分析を行った。

分析項目は、発達特性に対して一般的に必要とされる環境整備の代表的なポイント、「マルチタスクの有無」や「調整・交渉業務の有無」「リモート作業の可否」などといった15の要素を軸に構成され、その数は2職種で合計195に上った。

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