大正13年の創業から100年。伝統を守り続けてきた大阪府八尾市にある木村石鹸工業という従業員56人の小さな会社が、世界的な「いい会社」の指標であるB Corp認証を取得した。なぜ老舗企業が今、あえて厳しい国際的な企業の認証制度に挑んだのか。
そして、代表の木村祥一郎にとってこの認証は「ゴールではない」という。
世界が注目する「いい会社」の国際認証
大正13年(1924年)の創業から、木村石鹸は職人による釜焚き製法を守り続け、2024年に大きな節目である100周年を迎えた。老舗企業が今、世界で最も厳しいとも言われる社会・環境的責任の認証「B Corp(Bコーポレーション)」を取得した。
B Corpとは、社会や環境に配慮した企業を認証する国際認証であり、「B」は「Benefit(ベネフィット=社会的便益)」を意味し、株主だけでなく従業員、顧客、地域社会、環境など、すべてのステークホルダーへの利益を重視する。フェアトレード認証やオーガニック認証が商品を対象とするのに対し、B Corpは企業のあり方そのものを評価する。ガバナンス、従業員、コミュニティ、環境、顧客の5領域で約200の設問から構成されるアセスメントを評価し、80点以上の企業を認証する。
「B Corpは、シンプルに言えば『いい会社』の認証だと捉えています」と木村は語る。
日本には古くから「三方良し」という言葉があるが、B Corpはそれを現代のグローバルなビジネス環境において、共通のプロトコル(言語)として再定義したものだという解釈だ。
なぜ今、創業100年の老舗が「B Corp」を掲げるのか
木村がこの認証に興味を抱いたのは、2013年頃。当時、18年間務めたIT企業を退任し、40歳を過ぎて家業である木村石鹸に戻ったばかりだった。
木村は「最高の製品を作る」あるいは「どこよりも安く作る」というスペックや価格の競争だけでは、中小企業は生き残れないのではないかという強い危機感を抱いていた。
「会社の生き残り方について考えたとき、市場が飽和していく時代の中で、最高や最安では、中小企業は1〜2社しか生き残れない。小さな会社が目指すべきは『最愛戦略』。顧客から愛される会社になることだと考えました」



