「静かな退職」なんて、もう忘れてしまおう。従業員のなかには、それとは真逆のアプローチを取り、上司との距離を縮めることで、職場環境の改善を期待している者がいる。しかし最新データによると、その戦略は、予期せぬ結果を伴う可能性があるようだ。
JobHire.AIが、米国の従業員2000人を対象に行なった調査によると、26%がすでに仕事以外で上司と友人関係にあり、さらに32%がそうなりたいと回答している。多くの人が、柔軟性や信頼感、コミュニケーションの透明性が高まったと報告しているが、同じデータからは、境界線の曖昧化、えこひいきの増加、キャリアを損ないかねない過度なプレッシャーなど、より深刻な緊張関係も浮き彫りになっている。
上司と友人関係になる前に、検討しておいた方がいいリスクには、次のようなものがある。
1. 境界線が曖昧になり始める
半数以上(56%)の従業員は、上司と友人関係になることで、プロとしての境界線が曖昧になり、仕事上のパフォーマンスと、個人的なつながりとを切り分けるのが困難になる、と回答した。
気軽な関係から始まったものが、次第に、双方の期待へと変化していく場合がある。かつては気楽な会話だったものが、たとえ意図的ではないにせよ、業務量やフィードバック、あるいは機会に関する判断に影響を与え始めることもある。時間が経つにつれて、フィードバックが、実際のパフォーマンスに基づいているのか、それとも関係性そのものに左右されているのか、その区別が曖昧になってくる場合がある。
そうした区別がなくなると、パフォーマンス上の問題や、キャリアの進路について、率直に話し合うことが難しくなるだろう。また、管理職が建設的なフィードバックを行うことを躊躇したり、従業員がそれを求めることをためらったりすることにもつながり、プロフェッショナルとしての強固な関係にとって不可欠な明確さが損なわれてしまう。
2. 「いつでも呼び出しに応じなければならない」というプレッシャーを感じる
従業員のほぼ半数(46%)が、仕事以外の時でも呼び出されたら応じなければならない、というプレッシャーを感じており、個人的なつながりが、暗黙の期待へと変わってしまうことを示している。就業時間後のちょっとしたメッセージや、週末の気軽な報告も、個人的な関係があると無視しづらくなる。
最初は柔軟に対応していたものが、次第に義務感へと変わり、その関係性を維持するために返信しなければならない、というプレッシャーに変わってしまう。こうした状況が続くと、仕事上の責任と私生活の境界線が曖昧になり、仕事から完全に離れることが難しくなる。
たとえ期待が明示されなくても、従業員は、仕事への関与を続けなければならないという内なるプレッシャーを感じ、それが疲労につながり、仕事以外の時間で十分な休息が取れなくなる可能性がある。



