トランプ米大統領は4日、SNSに「地獄のような報いが降りかかるまで、あと48時間だ」と投稿した。トランプ氏は、イランのエネルギー施設への攻撃期限を米東部時間6日夜(日本時間7日午前)としていたが、5日になってSNSに「米東部時間7日午後8時(日本時間8日午前9時)」と投稿した。
トランプ氏は1日の演説で、イランの核開発の完了が「目前に迫っていた」と主張した。イランの核開発について国際社会が懸念を持っていたのは事実だ。開戦理由の「大量破壊兵器の保有」が事実ではなかった2003年のイラク戦争よりはマシだが、国際社会が進めていた外交努力を一方的に反故にした。何より、昨年6月のイラン核施設への空爆作戦「ミッドナイト・ハンマー」を巡り、「(イランの核濃縮施設は)完全に、そして徹底的に破壊された」と述べたトランプ氏自身の主張と矛盾する。多くのメディアは「イスラエルのネタニヤフ首相に『今ならイランの体制を変えられる』とささやかれ、その気になった」と報じている。
トランプ氏の日々、二転三転する発言を聞く限り、自身も「こんなはずではなかった」と思っているようだ。その姿は、4年前にウクライナに全面侵攻したロシアのプーチン大統領や約90年前に全面的な日中戦争に突っ込んだ旧日本陸軍の姿に重なる。防衛研究所の庄司潤一郎研究顧問は「計画的ではなく偶発的に起きたという点で日中戦争は異なるが、いずれのケースも軍事力はもちろん国力でみれば、米国、ロシア、日本が相手を圧倒していた。トランプ氏もプーチン氏も旧日本陸軍も『一撃を加えれば、全面戦争にならずに相手を屈服できる』という見通しを持っていたのではないか」と語る。相手を過小評価していたが、予想に反して却って強靭な抵抗にあい、戦争は長期化することになった。逆に言えば、強い意志と抵抗がなければ、容易に屈服していたということを示している。
開戦理由もいい加減だが、戦争の終わり方については論理が破綻している。トランプ氏は1日の演説で、イランの核開発能力、軍事力がほぼ壊滅状態にあると説明。イランの体制もより国際社会に融和的になったと説明した。「戦争の目的をほぼ達成した」と言わんばかりの内容だが、実際には戦闘をやめられずにいる。庄司氏によれば、日中戦争当時の支那派遣軍参謀だった堀場一雄は、戦争指導の要諦は「戦争目的の確立、進軍限界の規整及び戦争終結の把握」であると反省を込めて指摘している。トランプ氏もプーチン氏も戦争指導に失敗したと言える。特に、戦争目的として体制の打倒を掲げれば妥協の余地はなくなり、戦争終結をより困難にすることは言うまでもない。



