スタートアップ

2026.04.06 18:00

AIが生んだ「1人スタートアップ」──3人の創業者が示した新常識

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マオール・シュロモは、AIアプリ開発基盤のBase44を、1人で、自己資金だけで立ち上げた。2025年5月までに、同社は単月で18万9000ドル(約3000万円)の利益を上げた。2025年6月、立ち上げからわずか6カ月後に、Wix(ウィックス)がこれを現金約8000万ドル(約127億円)で買収した。売却したのは、会社が行き詰まっていたからではない。1人で回せる範囲を超えて大きくなったからである。

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そして、リンドホルムである。Daymakerは5カ月で、オスロの企業に1000個を超えるケーキを届けた。彼は、人事システムとの連携、会計システム、ベーカリーの配送管理を備えたプラットフォーム全体を、ノーコードツールのLovableで作った。しかも、手書きのコードは1行もなかった。

営業チームは、新規開拓の働きかけにこれを使っている。リンドホルムはこれを「コールド・ケーキング」と呼んでおり、報道によれば成約率は40%だという。人事チームは、従業員の誕生日に合わせた配送の自動化に使っている。ケーキは関係構築のきっかけにすぎない。Daymakerの事業の核は、その裏側にある自動化プラットフォーム(SaaS)のほうである。

3人をつないでいるものは、見た目ほど複雑ではない。AIが、アイデアを収益に変えるまでの距離をほぼゼロに縮めたのである。

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筆者注: この記事の初期版には、今週大きく報じられ、ニューヨーク・タイムズの紹介記事も出た遠隔医療スタートアップMedvi(メドヴィ)が含まれていた。だが掲載から1時間以内に、Drug Discovery Trendsによれば、FDAがそうした報道より前にすでに同社へ警告を出していたこと、さらに同社サイトにはディープフェイクとされる患者のビフォー・アフター写真など、懸念を抱かせる手法があったことを知った。そこで筆者は直ちにMedviを削除した。

AIが今、あらゆるリーダーに意味すること

これが、「AIファースト」時代の現場の姿である。20歳の青年がケーキを使ってKPMG(世界四大会計事務所の1つ)との商談を取り付ける。ウィーンの個人開発者が作ったサイドプロジェクトを、OpenAIが60日足らずで買収する。別の個人開発者は、大半の創業者がシードラウンド(初期資金調達)の資料を作り終える前に、Wixに8000万ドル(約127億円)で会社を売却する。

すべての創業者と企業リーダーが答えなければならない問いは、この3人がすでに答えたものと同じである。かつて既存企業を守っていた参入障壁をAIが取り払ったとき、あなたの「圧倒的な強み」とは何か?

旧来の定石は、最も速く最も多くの人を雇える者に報いた。新しい定石は、最も少ない人数で動ける者に報いるのである。

AIスタートアップの新たな定石に、従業員の出番はない。残された唯一の問いは、あなたの会社がAIとともに新しい定石を書く側にいるのか、それとも古い定石を守る側にいるのかということだ。

(forbes.com 原文)

翻訳=酒匂寛

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