「一人で旅するのは寂しい」という思い込みが消えていく
かつて一人旅は、どこかネガティブなイメージを帯びていました。「友達がいないから一人なのかな」「大丈夫かな」。そんな眼差しを感じてきた人も、多いのではないでしょうか。しかし今、その空気は確実に変わっています。
Booking.comは2026年の旅行トレンドを「The Era of YOU(あなた自身の時代)」と名付け、日本を含む世界33カ国・約2万9000人の旅行者を対象にした調査をもとに、旅行が「画一的なパッケージ」から「自己表現の舞台」へと進化していることを明らかにしました。注目すべきは、この調査が単なるトレンド予測ではなく、実際の予約データと消費者調査を組み合わせた分析である点です。つまり、「こういう旅がしたい」という願望ではなく、「実際にこういう旅が選ばれている」という現実を示しています。
そのキーワードは「超個別化」です。世界の旅行者の4分の3(75%)が「頑張った自分へのごほうび」として旅行を予約しており、日本でもその割合は55%に上ります。振り返ってみると、「誰かと合わせる旅」から「自分自身を喜ばせる旅」へ、という変化は、数字が出るずっと前から、僕自身も肌で感じていたことでした。韓国を中心に好きなアーティストを追いかける"推し活旅"が急増しているのも、まさにこの流れの一つといえるでしょう。自分の「好き」を旅の目的にしていい、という空気が、世界規模で広がっています。
また、一人旅の増加はある特定の年代に限った話でもありません。Grand View Researchのデータによると、25〜40歳の一人旅市場は年14.8%で成長しており、ミレニアル世代とZ世代が中心を担っています。一方で、50代女性においても「50代での一人旅デビュー」が増加傾向にあるというデータもあり、人生の節目に自分と向き合う手段として一人旅を選ぶ層が、幅広い年代に広がっていることがわかります。
一人旅とは、まさにその最も純粋な形です。誰かのスケジュールに合わせる必要もなく、誰かの好みに配慮する必要もない。自分だけの動機で、自分だけのペースで動ける旅。世界中の旅行者が今、その”価値”に気づき始めています。


