東松寛文氏。平日は広告代理店で働くかたわら、週末には世界中を旅する「リーマントラベラー」だ。これまでに102カ国247都市に渡航、2016年、3カ月間で世界一周を達成し、『地球の歩き方』から旅のプロに選ばれた。
『リーマントラベラー 週末だけで世界一周』(河出文庫)などの著書があり、オーストラリア、ケアンズ&グレートバリアリーフ観光大使でもある、文字通り「週末海外旅行の猛者」東松氏に、旅の極意、次の旅に速攻役立つトリビア的な教養知識を伝授していただく。
本稿は人気記事:航空券「SSSS」の印字はFBIの注意喚起暗号? 一般人も例外にあらず に続く4回目である。
今、一人旅を選ぶ人が世界中で急増しているという。なぜ多くの人が一人で旅に出るようになったのか、そしてなぜ、AIが普及した時代にこそ一人旅の価値はさらに高まるのか。旅の達人がその理由について考える。
「solo travel」のGoogle検索数、最高値更新
「solo travel」というキーワードのGoogle検索数が、2025年に過去最高値を更新しました。旅行業界の調査によると、この検索数は過去10年で223%増加しているというデータもあります(Insight Vacations調べ)。直近でも、2023年4月〜24年4月のわずか1年間で72.6%増加しており、一人旅への関心は長期的にも短期的にも、右肩上がりを続けています。
市場規模でみると、世界の一人旅市場は2024年時点ですでに4823億ドル(約72兆円)規模に達しており、2030年までに1兆700億ドル(約160兆円)に達すると、調査会社Grand View Researchが予測しています。年間成長率にして14.3%。これは旅行業界全体の成長を大きく上回るペースです。単純に「旅行者が増えた」というより、旅のスタイルそのものが変わりつつあることを、この数字は示しています。
では、なぜ今、これほど一人旅が選ばれるようになったのでしょうか。背景には複数の要因が重なっています。リモートワークの普及によって「いつでも・どこでも働ける」環境が整い、一人でも旅に出やすい条件が整ったこと。予約プラットフォームやナビアプリの進化によって、かつては難しかった個人手配の旅が誰でもできるようになったこと。そしてSNSで一人旅の体験が可視化されたことで、「自分もやってみよう」という心理的ハードルが下がったこと。これらが重なって、一人旅は一部の人の特別な選択から、多くの人の当たり前の選択肢へと変化しつつあります。
会社員として働きながら100カ国以上を旅してきた僕ですが、正直なところ、かつての一人旅には少し「言い訳」が必要でした。「友達のスケジュールが合わなくて」「たまたまひとりで行くことになって」。そんな説明を添えないと、どこか孤独な人間に見られそうで……。今思えば、なんてもったいない時間を使っていたんだろうと思います。
でも今、一人旅を「選んでいる」人が世界中で急増しています。なぜ、これほど多くの人が一人で旅に出るようになったのか。そしてなぜ、AIが普及した時代にこそ、一人旅の価値はさらに高まるのか。その理由をお伝えしたいと思います。




