その他

2026.04.06 11:30

オリーブオイルが米国で高騰している理由──イラン攻撃・関税・気候変動

Shutterstock

Shutterstock

今日、近所のスーパーマーケットでオリーブオイルを1本手に取ってみてほしい。産地はスペイン、イタリア、チュニジア、あるいはギリシャである可能性が高い。そして、その価格が近く大幅に上がる可能性も高い。イラン情勢は、台所の定番を地政学の犠牲者に変えた。多くの米国の消費者は、それが迫っていることをほとんど知らない。

米国は現在、世界で2番目にオリーブオイルを消費する国(スペインに次ぐ)で、年間およそ38万〜40万トンを消費している。だが国内生産は主にカリフォルニアに集中し、その需要の約4%しか賄えていない。米国で使われるオリーブオイルの95%以上は現在も輸入品だ。サラダにかけ、パスタの仕上げに使い、毎日手に取るオリーブオイルのほぼすべてを、地中海地域に依存しているのだ。過去6年間、スペイン、イタリア、チュニジア、トルコが米国向けの主要供給国であり、合計で輸入総量の86%を占めてきた。

今や食料のサプライチェーンは、戦地そのものと、そこから広がる経済的な衝撃波のまっただ中を通っている。

中東での紛争、EUからの輸入に対する15%の関税、紅海における海運の混乱が、米国で最も愛される食用油に同時にのしかかっている。しかも多くの買い物客は、それに気づいていない。

エネルギーコストが食品価格に与える影響

イラン情勢がもたらす最も直接的な影響はエネルギーである。北海ブレント原油は(米国時間2026年3月27日時点で)1バレル当たり112ドルまで急騰した。歴史的高値の147ドルは2008年7月に記録されている。トランプ政権の対イラン攻撃が始まると、ホルムズ海峡を通る船舶輸送は事実上停止し、世界の原油・ガス供給のおよそ5分の1が市場から消えた。この要衝は通常、世界の石油と液化天然ガスの輸送量の約5分の1を処理しているため、そこが詰まれば、世界の食料システム全体が影響を受ける。

このことがオリーブオイルのボトルにどう関係するのかは、一見して分かりにくい。だが、原油価格と食品価格は連動する。エネルギーは、畑で使われる肥料から、農場からスーパーの棚まで食品を運ぶトラックや船舶に至るまで、食料サプライチェーンのあらゆる段階に影響する。

3月26日、私はデオレオ(Deoleo)・ノースアメリカ・アンド・ラタムのティエリー・モイルーCEOに話を聞いた。同社はベルトーリ(Bertolli)、カラペリ(Carapelli)、カルボネール(Carbonell)といったブランドを擁する世界最大のオリーブオイルボトラーである。モイルーが伝えてくれた良いニュースは、今季のオリーブ収穫は前の2季より大幅に良く、その結果、オリーブオイルの不足は起きないはずだということだ。一方で悪いニュースとして、原油コストと、EUから米国へオイルを輸送するコストのために、価格は上昇するとも語った。

AP通信が引用したシラキュース大学でサプライチェーン実務を教えるパトリック・ペンフィールド教授によれば、海上輸送による貨物輸送の総運営コストのうち燃料が50〜60%を占める。業界アナリストは、イラン情勢の影響地域を避けるための迂回により、航海ごとに1〜2週間の遅延と、燃料費として数十万ドル(数千万円)の追加負担が発生すると指摘する。こうしたコストは不可避的に食料品売り場の価格に反映される。コストは輸入業者、次いで卸、次いで小売、そして消費者へと転嫁されていく。

地中海のサプライチェーンは、イラン攻撃前から圧力を受けていた

この痛みを特に大きくしているのは、最初のミサイルがイランに撃ち込まれる前から、オリーブオイルのサプライチェーンがすでに関税の圧力を受けていたことだ。2025年4月2日、米政府はすべてのオリーブオイル輸入に10%の関税を課すと発表し、4月9日には対象国ごとに11〜50%の差別化関税を続けて導入した。2025年8月時点で、EUのオリーブオイルの米国向け輸入には15%の輸入税が課されている。米国の小売業者と外食事業者は2025年の大半を、関税導入を見越して在庫を前倒しで積み増すことに費やした。だがその在庫は現在減少しており、新たな出荷品には追加の関税負担が上乗せされる。

アジアから地中海へのコンテナ海上輸送も、紅海回避によって喜望峰回りの迂回を強いられ、運賃は危機前の水準と比べてなお大幅に高いままだ。

もう1つの現実は気候変動である。地中海の生産者は近年、天候と収穫の課題に直面してきた。したがってオリーブオイルの価格は、構造的に逼迫した供給、新たな関税、そして戦争が引き起こしたエネルギー価格と供給のショック──これらの複合的な要因によって押し上げられている。

次ページ > 米国内生産では不足分を埋められない理由

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事