経営・戦略

2026.04.04 13:39

「イーロン・マスクのアルゴリズム」テスラ元社長が明かす成長の原則

Zenstratus - stock.adobe.com

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企業で真にハイパーグロースを生み出すには、どうすればよいのか。適切な製品やサービスを持つことか。適切な人材を採用することか。適切な助言者に相談することか。それとも、競争の激しいエコシステムで生き残るという古くからの課題に、別のアプローチで向き合うことなのか。

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2015年から2018年までテスラの社長を務めたジョン・マクニールによる新刊がまもなく出版される。タイトルは『The Algorithm』。成長の実現がしばしば困難な世界において、テスラが用いてきたイノベーションの枠組みを明かしている。

私は熱心に読み進めた。本稿では、これらのビジネス戦略それぞれについて著者の指摘を整理していく。総体として、マクニールが「イーロン・マスクのアルゴリズム」と呼ぶものだ。

あらゆる要件を疑え

マクニールが挙げる最初の原則は、製品やプロセスにおけるあらゆるルールや要件を批判的に検証し、「愚かな、あるいは不要な」要件が紛れ込んでいないかを確認することだ。このシンプルな提案は、ある人には日和見主義に聞こえるかもしれない。しかし多くの場合、最初から過度に複雑化したプロセスを実際に簡素化する。マクニールは、テスラが中国で早期に足場を築いた事例を挙げ、マスクらが中国で初めて、財務的に100%支配する事業体を持つ企業をつくり上げた経緯に触れている。

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さらに、現行のロボティクス、材料科学、機械の限界に疑問を投げかけることも強調する。

「半導体業界は半世紀以上にわたり、原子レベルの限界に押し当てられてきた」と彼は指摘し、大量のロボット溶接機を管理する斬新なアプローチを記述する。その中で、あるリーダーがマッチ箱のミニカーと実車を比較し、より大きな部品を鋳造して、自動車製造工程の50%を削減できる十分な余地があると見いだした例を紹介している。

マクニールの本のこの章でさらに語られるのは、執拗なまでに簡素化せよ、ということだ。いかなる前提も受け入れるな。あらゆることを疑え。現行のエンジニアリングの制約から、部品点数、法的文書の段落に至るまで。

プロセスを詳細に分析する

マクニールが明かす2つ目の原則は、プロセスの各ステップを分解しつつ、顧客に焦点を当ててステップを容赦なく削除していくことにある。

顧客が支払っていないものを見つけ、それを捨てよ、と彼は提案する。プロセスに大鎌を振るい、機敏にせよ。いくつかのステップは後で戻す必要が出ることも認めつつ、プロセスを本当にそぎ落とす唯一の方法は、いったん徹底的に壊し、顧客の視点から再構築することだとマクニールは論じる。顧客は本当は何を買っているのか、という観点である。

ここでマクニールが用いる基本的な例はこう要約できる。クルマを購入するのにクリック数が多すぎた。つまり、デジタルの販売プロセスが扱いにくかったのだ。そこでテスラのチームは、選択肢を統合することから着手し、受注生産から少数の中核モデルへと移行させた。さらに、自動車ローンがなぜ1段落で済まないのか、ひいては1クリックで完了しないのかを問い直した。

オンライン注文プロセスは、64クリックから約12クリックへと削減された。そしてプロセスはうまく回り始めた。

この章には、より多くのケーススタディ、図解、そして彩りのある余談が盛り込まれている。

簡素化して最適化する

マクニールは次の章を、主力製品としてのテスラModel Yが複雑なシステムであり、販売プロセスに多くの詳細が入り込むという事実を認めるところから始めている。

「店舗スタッフが学ぶべき情報量は膨大だ」と彼は書く。「私がテスラに入社した当時、研修は広範だった。新入社員は丸1カ月、動画が大量にあるオンライン講座を受け、クイズを解き、資料を読み込んだ。テスラに関するあらゆることを叩き込む集中講座であり、仕事の複雑さに対処するための、いわばミニスクールだった」

彼はさらに次のように分析する。

「分厚い研修パケットは、積み重なりの結果だった。これは規模の大小を問わず組織にありがちだ。人間は、潜在的な問題と解決策に満ちた無数のシナリオを思い描くことに何の苦もない。その何百ものシナリオが研修制度に組み込まれていった」

そこで彼は、研修期間を1カ月から1時間に短縮するようチームに挑んだ。マクニールは、これは極端に聞こえることを認めつつ、実に優れた成果をいくつも詳述している。その中には、営業担当者が顧客のためにより多くを行うようになり、真の成功を育む古典的な絆が生まれたことも含まれる。「今夜の食卓で話題にしてもらえ。顧客にとって驚くほど素晴らしいことをせよ」という言葉が、新しい研修の礎となった。その第一原則によって研修は徹底的に簡素化され、プロセスのステップの99%が取り除かれた。そして、より良い結果につながった。

最適化のために、プロセスのステップを抜本的に削除せよ。こうすればリーダーは、より少ないリソースでより多くを成し遂げられると彼は主張する。

サイクルタイムを加速する

「スピードの魔法は、あらゆる欠陥を露呈させることだ」とマクニールは書く。「そしてサイクルタイムが短いほど、同じ固定リソースのままでスループットと品質は高まる。速く進めることは、成長のためのシンプルなハックである」

この章でマクニールは、無駄なプロセスを見抜く最良の指標の1つとして、サイクルタイムとタッチタイムの比較を挙げる。次の工程を待ってただ置かれているだけで、何も行われていないのなら、なぜサイクル完了の遅延を許すのか。彼は読者に、「対応中です、来週お電話ください」といった言葉を耳にする状況の数々を想像してみてほしいと促す。

マクニールは、サイクルの可視性という原則を示すために、「ビークルプラン」と呼ばれる別のテスラのイノベーションについても語る。さらにルルレモン時代にも立ち返り、いくつかのアイデアを通じてシステムを合理化し、改善していく例を追加する。現状を疑え。伝統や規範から離れよ。ステップを削除し、スピードを上げよ。

「爆発的な成長はシステムに負荷をかける」と彼は述べ、他の抜本的な簡素化の例へと踏み込む。たとえばフリーモントのテスラ配送センターの品質プロセスや、シカゴにあるミシュラン星付きレストラン「Alinea」などだ。ここで示されるのは、最適化の余地がどこにあるかを見極めるため、物事を根本までそぎ落としていく原則である。

多くの場合、そのプロセスが大きなイノベーションを生む。

これはビジネス原則についての興味深い見立てだと感じた。私はマクニールと、関連性のある内容を含むと思われる対談もいくつか制作している。1つは4年前、もう1つはその2年前だ。AIとビジネスへの影響については、引き続き注目してほしい。

forbes.com 原文

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