ブランドはクリエイターマーケティングに資金を注ぎ込んでいる。しかし、その支出を収益に結びつけられている企業は少ない。
データは存在する。企業の側が、それを生かして動けるようにはできていないだけだ。
なぜか。クリエイターを選ぶのはブランドチームで、メディアを買うのはパフォーマンスチームだ。両者は別々のシステムで動き、測っている指標も異なる。「どのクリエイターが実際に収益を動かしているのか」という最重要の問いには、明確な責任者がいない。
スティーブン・ラマーティンクは、そこに解くべき課題があると考えた。
ラマーティンクは、AI駆動のクリエイターマーケティングプラットフォーム「The Cirqle」の創業者兼CEOである。同社のプラットフォームはCrocs、Rent the Runway、Therabody、Loop Earplugsなどのブランドに利用されている。Meta、TikTok、Shopifyと連携し、あらゆるクリエイターコンテンツを、ペイドメディアとして生み出した収益に紐づける。オーガニックとペイドの成果が並列で表示され、ブランドチームとパフォーマンスチームは同じデータをリアルタイムで参照できる。
The Cirqleを導入する小売クライアントの1社は最近、製品ローンチに向けて新たなクリエイターを試すために同プラットフォームを使った。キャンペーン前、そのブランドには該当クリエイターのパフォーマンスデータが一切なかった。いずれも新規の関係であり、コンテンツとの相性と匿名化されたROASデータをもとに選定された。
フォロワー2万5000人のクリエイターが「こう着こなす」動画を投稿した。オーガニックでは、リーチは最小限で、追跡可能な収益もゼロだった。多くのブランドなら、そこで次に移っていただろう。
しかしそのブランドは、その動画をペイドのパートナーシップ広告に転用した。同じコンテンツ、同じクリエイター。彼女のハンドルネーム、彼女のオーディエンスシグナル、彼女のソーシャルプルーフ。そのうえで、ターゲティングと予算はブランド側がコントロールした。
その1本のコンテンツは、ROASで8倍を叩き出した。どのクリエイターが、どの素材が、どのオーディエンスが結果を生んだのかを、ブランドは正確に把握できた。そして、そこにすぐさま追加の予算を投下できた。
「オーガニックではゼロばかりを目にする」とラマーティンクは言う。「ところがペイドでは、本物の売上、本物のリターンが見える。そして、それはスケールする」
Loop Earplugsの元グローバルパフォーマンスリードであるアレクサンダー・ロデウェイクスも、それを現場で見た1人だ。「The Cirqleのデータドリブンなクリエイターエンジンは、誠実なUGCがスタジオ制作の広告を上回り得ることを示し、ソーシャルコンテンツを予測可能な収益へと変えた」
アーンドメディアからペイドパフォーマンスへ:クリエイターマーケティングはこうして現在に至った
クリエイターマーケティングは当初、ペイドメディアのチャネルとして始まったわけではない。出発点はアーンドメディアだった。ブランドはオーディエンスを持つ人に商品を提供し、オーガニックな言及を期待した。やがてスポンサーコンテンツになった。ブランドは投稿1本に定額を支払い、成功をインプレッションとエンゲージメントで測った。クリエイターは大きくなり、フィーも大きくなった。しかしアトリビューションは追いつかなかった。ブランドは支払い、投稿し、そして祈った。
その後、プラットフォームが配信の仕組みを変えた。
MetaとTikTokが時系列フィードをアルゴリズム推薦に置き換えたことで、誰かをフォローしても、その人のコンテンツが見られる保証はなくなった。消費者が見るものを選ぶのではない。プラットフォームが決めるのだ。フォロワー10万人のクリエイターが、ブランドのターゲット顧客に10万インプレッションを届けるわけではない。アルゴリズムは、その人が購入候補かどうかにかかわらず、エンゲージメントすると予測した相手に各投稿を見せる。
クリエイター投稿は、それ単体ではただのコンテンツだ。ペイドメディアとして運用したとき、それは測定可能なパフォーマンス資産になる。
そしてプラットフォーム側も、そのギャップを埋めるツールを構築した。
Metaのパートナーシップ広告は、ブランドがクリエイターの投稿を取り込み、ペイド広告として配信できる。広告はブランドではなく、クリエイターのハンドルネームで表示される。フィード上ではオーガニックコンテンツのように見える。ただし、ブランドアカウントから投稿を単にブーストするのとは異なる。違いはターゲティングにある。Metaの配信システムは、クリエイターとブランド双方のアカウントのシグナルを使って、適切なオーディエンスを見つけ出す。
アルゴリズムは、クリエイターのエンゲージメント履歴と、ブランドの顧客データを組み合わせることで、どちらか一方だけでは得られない高解像度のターゲティングを実現する。
TikTokのSpark Adsも同じ原理で機能する。両プラットフォームは、コマースAPIをShopifyにも接続し、広告配信を販売のアトリビューションへ直接つなげた。
こうしたプロダクトが存在するのは、プラットフォーム自身のデータが、フィード内で起きていることを確認したからだ。すなわち、クリエイターコンテンツはブランド制作の広告よりも長く注意を引きつけ、高い転換率を生む。TikTokの調査によれば、クリエイター広告は同一CPMで、非クリエイター広告に比べクリック率が70%高く、エンゲージメント率が159%高い。
それでも多くのブランドは、こうしたツールが存在する以前と同じやり方で、クリエイターマーケティングを運用している。
テクノロジーがあるのに、なぜより多くのブランドが活用しないのか。
IABによれば、広告主の39%はクリエイターへの支出をROIに結びつけられていない。データがないからではない。チームの間に挟まれたまま動かないからだ。
クリエイターマーケティングは通常、ブランドチームやコミュニケーションチームが担う。彼らが重視するのは、適切な語り手を見つけることだ。ペイドメディアはパフォーマンスチームが担い、彼らが重視するのは数字である。
2つのチームはダッシュボードも予算も共有していない。ブランドチームは、選定から投稿までクリエイター関連のプロセス全体を回す。完了する頃、パフォーマンスチームはそれが起きたことすら知らず、コンテンツを増幅する機会の窓は閉じていることもある。
ラマーティンクは、両チームが同じシステムで働くと、この摩擦が消えると見る。ブランドチームのクリエイター選定と、パフォーマンスチームの収益データが同じ場所に存在する。オーガニックコンテンツが伸び始めれば、ペイド側はそれを見て即座に動ける。
「ブランドチームがパフォーマンスチームと、歴史上初めて会話している」とラマーティンクは説明した。
「ブランドチームは『これは本当に好きな表現だ』と言う。パフォーマンスチームは『これは本当にコンバージョンしている』と言う」
CMOへの助言はこうだ。「PR部門から切り離して、パフォーマンスマーケティングの中に置きなさい。見るべき範囲が変わったのだ」
新たなパフォーマンス時代:スケールするクリエイターメディア
ジェニファー・クイグリー=ジョーンズも、別の視点から同じ変化を見ている。彼女は2017年、500ポンドと、YouTubeで得た学びをもとにDigital Voicesを創業した。YouTubeでは何年にもわたり、クリエイターにオーガニックでオーディエンスを伸ばす方法を助言してきた。彼女は同社を、Unilever、Meta、DoorDash、Duolingoなどのブランドのクリエイターキャンペーンを運用するグローバルチームへと育て上げた。
2026年1月、グローバルな独立系マーケティングサービス・テクノロジー企業であるPMGがDigital Voicesを買収した。現在、クイグリー=ジョーンズは、同社のインフルエンサープラクティスを率いている。
彼女は、パフォーマンスの問いには決着がついたと考える。「2025年、ブランドはクリエイターが広告を制作すると、ブランド制作コンテンツより成果が出ることをテストした」と彼女は言う。「機能することを証明した。99%以上のケースで」
しかし、証明することと、運用に落とし込むことは別だ。「クリエイターコンテンツを手に入れて、ブーストする権利さえあればいいと考えるブランドもある」と彼女は言う。「それはクリエイター×ペイド広告のエコシステムではない」クリエイターメディアには、従来のメディアバイイングの洗練がまだ存在しない。「顧客ペルソナ、ローカライゼーション、プラットフォーム上の配置に基づいて、素材に階層ができる段階には至っていない」
彼女の助言は、契約段階で使用権を事前に交渉しておくことだ。あらかじめパフォーマンスのベンチマークを設定する。ベンチマークを超えたコンテンツは、オーガニックの勢いがあるうちに直ちにペイドで起動し、パフォーマンスチームへ引き渡す。
ブランドが自社の現在地を評価する際の出発点として、ラマーティンクはCMOに対し、どのクリエイターマーケティングパートナーにも3つの質問から始めることを提案する。データはスクレイピングしたプロフィール由来か、それともファーストパーティのAPI連携か。ファネルのどこまで追跡できるか。クリック可能なリンクがないクリエイターコンテンツの収益を、どうアトリビュートするのか。
プラットフォームは、パフォーマンスメディアとしてのレールを敷いた。アルゴリズムは好みを宣言した。クリエイターマーケティングをパフォーマンスメディアとして運用するためのインフラは、今日すでに存在する。いま必要なのは、それを使いこなすチームとワークフローである。



