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2026.04.04 08:00

原油価格、WTIがブレントを上回る 中東巡る供給危機で米国産原油の需要急増

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米原油指標のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は2日、4年ぶりに国際指標の北海ブレント原油先物を上回った。これは、イラン情勢の混乱により中東産原油の供給が途絶えたことを受け、アジアの買い手が米国産原油に殺到したためだ。

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ブレント原油は通常、WTIに対して1バレル当たり3~6ドルのプレミアムをつけて取引されている。ところが、ペルシャ湾に位置するホルムズ海峡の混乱を受けてアジアの買い手が米国産原油に殺到したことから、WTIの価格が急騰した。

2日時点で、ブレント原油先物は1バレル108.37ドルで取引され、前日比7.21ドル(7.13%)高となった。一方、WTIは112.01ドルで取引され、前日比11.87ドル(11.86%)高となり、ブレント原油に対して約4ドルのプレミアムをつけた。

これに先立ち、ドナルド・トランプ米大統領は1日夜、国民に向け演説していた。その中で同大統領は、イランに対する攻撃の目的が「ほぼ達成されつつある」としながらも、同国を「石器時代」に逆戻りさせると宣言していた。同大統領はさらに、米軍がイランの海軍ドローン(無人機)部隊と弾道ミサイル部隊をほぼ「壊滅」させたと述べた。同大統領は、2月28日の米国による攻撃開始以来、イランが事実上封鎖しているホルムズ海峡を通じて原油を受け取っている各国に対し、同海峡が自国にとって重要であることを踏まえ、「勇気」を示して同海峡を掌握するよう求めた。

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市場はトランプ大統領の発言が紛争の長期化を示すものであると受け止め、同大統領が国民に向けて演説している最中に原油価格は上昇し始めた。アジア市場では先物価格が急騰し、欧州市場ではWTIのブレント原油に対するディスカウントがプレミアムに転じた。これは2022年5月以来初めての事例であり、過去16年近くでわずか5回目の出来事となった。

イラン情勢の混乱による供給危機

米国がイランへの攻撃を開始してから9日で6週間を迎えるが、これは米国産または西アフリカ産の原油を積んだタンカーがアジアに到達するのにかかる時間に並ぶ。こうした中、成長著しいアジア市場における米国産軽質原油の需要の高まりが、WTI価格上昇の主な要因となっているようだ。中東からの原油輸入に大きく依存しているアジアの多くの国は、現在通行が妨げられているホルムズ海峡経由で輸送される原油の供給不足に陥っている。

中東の主要な石油輸出国であるサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の2カ国は供給をある程度回復させたものの、イラクとクウェートによるアジア向け輸出は大幅に減少している。

買い手は代替調達先に頼らざるを得なくなっており、アジア市場は「供給危機」と呼ばれる事態に直面している。こうした状況の中、直接恩恵を受けているのはWTIだ。米国がイランへの攻撃を開始してから現在に至るまで、WTI先物とブレント先物はそれぞれ67%、50%上昇している。

攻撃が開始される以前、2026年の石油市場は供給過剰に陥るとみられていた。だが、業界関係者の多くは、世界の石油市場では、現在進行中の混乱の影響がまだ十分に現れていないと指摘している。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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