サイエンス

2026.04.07 18:00

頭を覆う透明なドームの中に、真上に向いた目を持つ深海魚「デメニギス」

3dsam79 / Gwtty Images

デメニギスの頭はなぜ透明なのか

魚の目そのものより、おそらくさらに奇妙なのは、その目の位置だ。デメニギスの目は、(ほぼすべての脊椎動物がそうであるように)不透明な組織に埋め込まれているのではなく、頭頂部全体を覆う透明なドーム状シールドの下にあり、その内部は透明な液体で満たされている。

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その姿は圧巻だ。上から見ると、魚がまるで建築物のように見える。頭蓋骨越しに輝く緑色の目がのぞくその姿は、温室の中に収められた2つの球体植物を載せた、小さな生きた「器」のようだ。

もちろん、この独特な構造は単なる飾りではない。少なくとも3つの明確な目的を果たしている。

1. 透明度:水中を通り抜けた光は、組織によって散乱したり遮られたりすることなく目に届くため、デメニギスは天窓のような視界を得ていることになる。

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2. 防御:深海には、クラゲやクダクラゲなど、刺胞を持つ生物がたくさんいる。2008年の『Copeia』誌の研究チームは、こうした危険を回避する際に、ドームが繊細な目を保護していると主張している。

3. 構造的サポート:ドームを満たす液体は、移動時に頭部の形状を維持し、目を安定させる役割を果たす。

驚くことに、この特徴は数十年間、誰にも気づかれなかった。トロール網で採取された初期の標本は、深海からトロール漁で引き上げられる標本の大部分と同様に、最初から損傷していた。壊れやすいドームは、水面に到達するずっと前に引き裂かれていたため、科学者たちの手に残ったのは、生きた姿とは全く異なる姿の魚だった。

そのドームが科学界に知られるようになったのは、自然環境での観察が実現してからだ。

デメニギスは、その独特な能力ゆえに、追跡型の捕食者としては進化しなかった。つまり、彼らが獲物を追いかけることはない。その代わりに、水中でほぼ完全に静止した状態を保ち、ひれを使って位置を固定しながら、目だけで獲物を狙う。獲物(主に動物プランクトン、小型甲殻類、クラゲの触手に絡まった生物など)が頭上を通過すると、待ち構えていたデメニギスは、方向を定めて襲いかかる。

デメニギスは、過酷な環境でどのように進化したのか

デメニギスは、生物が圧力下でどのような迂回的進化を遂げるかを如実に示している。深海では、光は乏しく、特定方向からのものに限られる。餌は少なく、捕食の危険は常に付きまとう。こうした理由から、視力のわずかな向上でさえ、生存と餓死の分かれ目となる。

進化は、種を一から作り直すことはせず、その代わりに、環境の特定の要求に応じて、既存の構造を段階的に改変していくのが通例だ。デメニギスの場合、そうした微調整の結果、奇妙と表現したくなるような構造が生まれた。目を光の方に向け、筒のような形状によって感度を最大化した上で、回転の柔軟性を加え、保護のためにシステム全体を透明なドームで覆う。それぞれの特徴が互いを補強し合っているのだ。

デメニギスは、ほとんどの脊椎動物が従う典型的な形態の枠組みを完全に覆している。解剖学上の最も基本的な特徴でさえ、十分な時間と十分な圧力があれば変化し得るものであることを思い出させてくれる存在だ。

この魚は、その科学的歴史の大部分においてほとんど解明されてこなかった。その主な理由は、深海での観察が極めて困難なことだ。ROVと高解像度の水中カメラが開発されて初めて、その真の解剖学的構造が明らかになった。

光がほとんど存在しない世界で、いかにして餌を見つけるかという自然界の難題の一つに対して、なんと首尾一貫して、優雅で、そして少し奇妙な解決策なのだろう。

forbes.com 原文

翻訳=米井香織/ガリレオ

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