巨獣たちを「顧客」として進化した果実
失われた文脈を理解するため、私たちが目を向けるべきは、更新世に南北アメリカ大陸を闊歩したメガファウナだ。メガファウナ(巨大動物群)は、比較的緩やかに定義されたカテゴリーだが、更新世に繁栄した大型哺乳類には、ゴンフォテリウム(長鼻目に含まれるが、現生のゾウとは遠縁)や巨大齧歯類などがいる。おそらく最も想像力をかき立てるのは、巨大な地上性ナマケモノだろう。
2001年に学術誌『Acta Palaeontologica Polonica』に掲載された論文は、巨大な地上性ナマケモノ(なかでもメガテリウム[Megatherium]という種)が、アボカドの種子散布者の有力候補である根拠を明確に示している。メガテリウムは、単に植物食だっただけでなく、果実に関係する植物と動物の相互作用に大きく貢献していた可能性が高いのだ。
同論文では、頭骨の構造や歯列に注目して化石を詳細に調べて、採食行動を推定する生態形態分析を行い、巨大な地上性ナマケモノが幅広く柔軟な食性を持っていたことを明らかにした。化石の解剖学的特徴からは、植物質全般を広く処理する能力を持つこと、果実が食性のかなりの部分を占めていたことが示唆された。
重要なのは、化石証拠から、巨大な地上性ナマケモノが、果肉豊富な果実をつける低木や樹木という、まさに動物を介した種子散布に依存するタイプの植物を採食していたと示唆されたことだ。これが重要なのは、果実の摂取は物語の半分に過ぎない点にある。残りの半分は、2008年の『PLOS One』の研究が主張するように、「移動」にある。
大型の動物は、より遠くまで移動し、より多くを摂取し、種子を傷つけることなく排出する傾向がある。そうすることで、彼らは空間を隔てた植物の個体群をつなぐ「器」としての役割を果たす。地上性ナマケモノは大型の果実を丸呑みできたため、アボカドのような樹種にとって理想的な種子散布者だっただろう。種子は消化管を通過し、ほかの場所に、栄養豊富な糞とともに排出された。
言いかえれば、巨大な地上性ナマケモノなどのメガファウナは、大型の果実を、発芽の準備が整ったパッケージへと変えたのだ。こうしてみると、アボカドなどの大型の種子をもつ果実も、ずっと理にかなったものに見えてくる。今日の基準ではオーバーサイズに思えたとしても、更新世においては問題なく機能を果たしていたのだ。
これは、共進化の典型例だ。つまり、植物と動物が、悠久の進化的時間のなかで互いの特徴を形づくってきた進化のことだ。アボカドのデザインは、豊かな実りをうまく扱い、その恩恵を享受できる動物との関係を反映したものだった。だが、氷河期の終わり頃に、更新世のメガファウナは絶滅した。そしてアボカドは、生態系のなかのパートナーを失った。


