賄い改革が業界の未来を変える
そんなこだわりの詰まった「賄い」は、実はこの1年ほどでさらに進化しているという。
「創業当初からキッチンスタッフは“世界一の賄い”を目指し努力してくれていますし、会社としてもより良い食事を提供するべく常に改善を重ねてきました。そこには、スタッフ技術の向上や可視化、食材ロスの軽減という目的もあります。加えて、“賄い改革”として近年取り組んだのが『健康管理』や『みんなで一緒に食事をとる』という、食の根本的な部分です」
そう語るのは、レフェルヴェソンスをはじめとするレストランやバー、ケータリング事業などを展開するサイタブリアの代表である石田聡氏。以前は皆バラバラで、厨房で立ったまま賄いを済ませることもあったが、今では可能な限り皆で食卓を囲めているという。さらに栄養管理士による栄養価のチェック体制も整えた。
「食を扱っている料理人が食を疎かにするのは本末転倒ですよね。一番おいしいものを食べていなくてはいけないはずなのに、飲食業界で働く方々はなかなかそれが出来ていないのが現状だと思います。食べる暇がないほど仕事に熱中してしまうのも分かるのですが、もっと我々が一食一食を大切にしていく必要があるのでは」
同社が福利厚生として実践しているのは昼食後の賄いにとどまらない。最近では朝食としてフルーツと自社プロダクトのボーンブロススープ(食材の骨に含まれるコラーゲンやアミノ酸、ミネラルを効率よく摂取できるスープ)も自由に食べられるようにした。「みんな朝ごはんを食べてこないんです。栄養がとれていないとパフォーマンスも下がるし、体の健康が保てないと心にも影響しますから、悪循環です」と石田氏。
ちなみに、スポーツ医学の見地から夜の営業後にも簡単な賄いが提供されている。仕事後に炭水化物とタンパク質を素早く摂取することで、ダメージを後へ残さず、翌日のパフォーマンスを上げることを目的としているのだという。
経営サイドの発想力と、スタッフの行動力により実現した「賄い改革」。食をより充実させたことで「風邪をひかなくなった」「花粉症が収まった」などのポジティブな報告も現場から届くようになり、インフルエンザの罹患率も減少したという。まだ実験段階だと石田氏は言うが、現場には確実に良い空気感やモチベーションがうまれているようだ。
これらの取り組みが、冒頭で紹介したインスタグラムをはじめ多くのツールで発信されることで、飲食業界のみならず社会全体により良いムーブメントが波及することを期待したい。


