「しかし、大きな効果を得ようとするなら、プーチンは戦いを長引かせなければならない」とディキンソンは指摘する。「もしも今後1カ月かそこらで和平合意が成立したら、ロシアの利益は限定的なものにとどまる。モスクワの立場からすれば、世界的なエネルギー市場の混乱が長期化すればするほど好都合だ。戦争が夏以降も続けば、ロシアの経済見通しは様変わりするだろう」
ディキンソンによれば「2026年初頭のロシア経済は、深刻な苦境の兆しを見せ始めていた。4年に及ぶ戦争と制裁が打撃となっていた」という。
「極めて顕著な経済的脅威は今なお残っている。プーチンは今やロシアのオリガルヒ(新興財閥)に『寄付』を命じていると報じられており、モスクワが直面する経済的困難を浮き彫りにしている」
「しかし、イラン攻撃が(中略)長期化する紛争と化せば、ロシアの経済問題の多くが解決し、ウクライナ侵攻のための資金も生み出すだろう」
「プーチンにとってウクライナ侵攻は、自身と政権の存亡をかけた問題となっている。もし明確な勝利を収めることなく侵攻をやめれば、プーチンの権力掌握力は劇的に弱まり、正統性も損なわれるだろう」
「したがってプーチンには、いつまでも戦い続けるか、説得力のある勝利を収めるかのいずれかの選択肢しかない」
かつて英国の国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシルの職員としてウクライナに派遣された経歴を持つディキンソンは、ウクライナを支援する欧州諸国はロシア産石油の制裁緩和に今後も団結して反対するだろうと語った。また、西側の制裁を回避してロシア産石油を密輸する「影の船団」と呼ばれるタンカー群の拿捕についても、欧州は脅しにとどめず実行に移す可能性が高いと付け加えた。


