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2026.04.03 12:00

誰が宇宙に課税するか──国家が競い合う「最終フロンティア」

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宇宙空間における課税権を確立するための提案

本稿は、Tax Notes Talkのエピソードの1つを文章化したものだ。フロリダ大学レヴィン・カレッジ・オブ・ローの税法・客員助教授であるエリカ・イザベラ・スクデリが、宇宙空間における課税権を確立するための提案について語る。

Tax Notes TalkはTax Notesが制作するポッドキャストである。本文字起こしは、明確さを期して編集されている。

宇宙は、税にとっても最後のフロンティア

デビッド・D・スチュワート(以下、スチュワート):ポッドキャストへようこそ。私はTax Notes Today International編集長のデビッド・スチュワートだ。今週のテーマは、宇宙──税の最後のフロンティアである。

NASAが月への帰還を計画し、億万長者が火星のコロニーを夢見る中、宇宙空間には多くの機会がある。そして、こうした計画が具体化するにつれ、課税権の所在を定める必要性もまた明確になってきた。宇宙における商業的プレゼンスが増大し続ける中、参照できる既存の法体系はすでにあるのか。宇宙物体はどのように扱われるのか。政策担当者はどう備えるべきか。

論文「On Sovereignty, Outer Space, and Taxation(主権、宇宙空間、課税について)」で、フロリダ大学レヴィン・カレッジ・オブ・ローの税法・客員助教授であるエリカ・イザベラ・スクデリが、これらの問いを含む多くの論点を論じている。彼女を招き、その論文について話を聞く。

エリカ、ようこそ。

エリカ・イザベラ・スクデリ(以下、スクデリ):光栄だ。今日は招いてくれてありがとう。

宇宙課税が突き当たる4つの根本的課題

スチュワート:まず基本から始めよう。宇宙に関する課税権を決めようとするとき、どのような課題に直面するのか。

スクデリ:私の見方では、課題は1つではなく、少なくとも4つの大きな課題がある。おそらく、他のすべてがそこから派生する最も基礎的な緊張関係から始められる。

第1の課題──管轄権の根本的欠如

各国は、主として3種類の管轄権に基づいて権限を行使する。自国民に対する人的管轄、国境内での領域管轄、そして準領域的または機能的管轄で、例えば船舶、航空機、宇宙船のような場面である。こうした管轄権の類型に基づき、主権国家の属性である課税管轄は、市民や居住者──個人および居住会社──に課税する権限へと置き換えられる。他方で、国の領域内、すなわち領土の境界内で生み出された所得に課税する権限がある。租税居住地、所得源泉、恒久的施設(PE)、経済的プレゼンスなど、どう定義するにせよ、いずれも課税対象となる活動が、確立された管轄境界の内側に属するどこかで行われることを前提にしている。

実際、あらゆる税法は、人や活動が常に国に対して領域的または人的な結びつきをもつ世界を前提に起草されてきた。宇宙は、その前提に真正面から挑戦する。デジタル経済が提起した問題よりも、さらに急進的な問題を生む。その理由は、国際宇宙法における基礎条約、基礎文書である1967年の宇宙条約に由来する。

宇宙条約 第II条は、月その他の天体を含む宇宙空間は、国家当局に服さず、すなわち、主権の主張、使用または占有、その他いかなる手段によっても、国家による領有の対象とならないと定めている。残念ながら時間が足りず、非常に魅力的な宇宙条約の豊かな歴史に踏み込むことはできないが、今日取り上げている論文の文脈で言えば、第II条は要するにこういうことだ。月や他の天体に着陸し、旗を立てて「ここは自国の領土だ」と主張しても、国際法の下ではそれはできない。主権の主張は承認されない。

この規定は、約60年近くにわたり、うまく機能してきた、あるいは少なくとも比較的うまく機能してきた。しかし、問題──問題と呼ぶなら──は、第II条が、宇宙活動の主体が主として政府であった時代に書かれた点にある。起草者たちは移転価格を想定していなかった。静止軌道における恒久的施設(PE)を想定していなかった。国家の管轄外に物理的に所在するインフラから民間企業が数百万、あるいは数十億ドル(数億円、あるいは数千億円)を稼ぎ得る世界を念頭に置いて、これらの規則を設計してはいなかった。したがって、宇宙条約の制度設計は、課税という観点での商業目的に必ずしも完全に適合しているわけではない。

第2の課題──課税対象所得はそもそも存在するか

第2の、そして根本的な論点として議論すべきは、宇宙課税の議論ではしばしば見落とされがちだが、少なくとも宇宙活動に対する法人所得課税は、そもそも課税所得が存在することを前提にしている点である。宇宙産業の大半において、現時点でその前提は成り立っていない。宇宙は、極めて資本集約的で技術リスクが高く、初期投資から商業的リターンに至るまでの時間軸も長い分野である。

その結果、多くの宇宙企業、スタートアップ、衛星メーカー、軌道上サービス事業は今のところ事業として黒字ではなく、今後何年も黒字にならない可能性がある。したがって、宇宙商取引の課税、宇宙課税を語るなら、少なくとも当面は、課税対象となり得る所得、すなわち課税ベースが、見出しに踊る売上高の数字が示唆するよりも狭いことを明確にしておく必要がある。

とはいえ、もちろん世界の衛星産業だけでも2024年に4150億ドル(約66兆円。1ドル=159円換算)超を生み出しており、その大半は商業衛星セクターによるものだ。もう1つ考慮すべき点は、所得課税だけが宇宙企業に課される税の種類ではないということだ。宇宙企業には、固定資産税、物品税、燃料税も課され得る。一定の免除があるうえ、実務上これらの税の多くは実際には宇宙企業によって支払われていないが、それでも考慮すべき税は他にもある。

第3の課題──立法と商業のタイムライン不一致

4つの課題のうち、第3のものはタイミングだ。私はこれを「速度のミスマッチ(ベロシティ・ミスマッチ)」と呼んでいる。デジタル経済をめぐる議論を経験した人なら、このパターンはすぐに見覚えがあるはずだ。例えば、OECDのBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトは2010年代初頭に始まり、2015年までに15の行動計画を生み出したが、その10年後の現在も2本柱の解決策の正当性や実施を議論し続けている。

政治的コンセンサスが相当程度ある場合でさえ、首尾一貫した国際税制改革にはそれほどの時間がかかる。この点で、たとえ今日、宇宙活動のためのグローバルな課税枠組みを作ろうとしても、ある意味ですでに手遅れになりかねない。立法の時間軸と商業の時間軸が、やや噛み合っていない。そして、そのギャップ──歴史的に起きてきたように──こそが、タックスプランニングや、低課税・無課税の機会が生じ得る場所である。

同時に、拙速で熟慮を欠いた税制対応は、私たち全員が日常的に恩恵を受ける分野に、制度的な不利益をもたらす可能性があることも忘れてはならない。宇宙セクターの成長を促すというインセンティブの付与と、規制の間には緊張関係がある。

第4の課題──政治経済問題

最後の論点は、政治経済学の問題と呼べるものだ。商業宇宙セクターが最も発達した国々には、そのセクターを軽規制のままに保ちたいという強い国内の利害関係者が存在する。大規模なテック産業を抱える国々の政治的抵抗によって、OECDの技術的作業が何年も停滞したデジタルサービス課税と全く同じ力学が見られた。宇宙課税について国際的に協調した枠組みを確立できる時間的窓は、すでに狭い。産業が成熟し、ロビー活動のインフラが強化されれば、その窓はさらに狭くなる。

これは法的というより構造的な課題だといえる。そして将来、実務家や政策担当者がこれらの問いに向き合う際の緊急性や真剣度にも影響するかもしれない。

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