2026.04.04 17:00

史上最大の「石油危機」 EUでは市民に移動控えるよう呼びかけ

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エネルギー危機の深刻化の懸念が欧州全体に広がる中、こうした状況は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)初期を彷彿とさせる。当時、各国政府は国民に移動の仕方や時期、目的の見直しを求めた。今回の場合、脅威はウイルスではなく、イランでの戦闘による急激なエネルギー不安の高まりだ。エネルギー不足への懸念が強まる中、欧州委員会(EC)は現在、特に運輸部門において自主的なエネルギー節約を市民に促すよう加盟国に呼びかけている。

欧州連合(EU)のエネルギー担当欧州委員ダン・ヨルゲンセンは、米政治専門サイト「ポリティコ」が確認した書簡の中で、「特に運輸部門に焦点を当てた自主的な需要削減措置」を検討するよう加盟国のエネルギー相に求めた。

エネルギー相らは3月31日に緊急会合を開いてエネルギー危機について協議した。欧州の運輸部門はジェット燃料やディーゼルの輸入の40%超をペルシャ湾地域に大きく依存しており、中東での戦闘が予想よりも長期化するのではないかという懸念が高まっているとポリティコは報じている。

IEAはエネルギー節約案を提示

実際、国際エネルギー機関(IEA)は需要削減のための提案リストを示しており、中でも世界の石油需要の45%を占める道路輸送に焦点を当てている。例えば、高速道路の速度制限の引き下げなどだ。さらに、在宅勤務や航空、調理に関するものも含まれている。これらの多くは、ガソリン配給や「自動車を使わない日曜日」などが実施された1970年代の石油危機時にも導入された対策だ。

IEAのファティ・ビロル事務局長は報告の中で、「中東での戦闘は大規模なエネルギー危機を引き起こしており、世界の石油市場史上最大の供給の混乱が含まれる。早急に解決されなければ、エネルギー市場と経済への影響はますます深刻なものになるだろう」と述べた。

ドイツのメルツ首相は「イランでの紛争が拡大すれば、ドイツと欧州への影響は新型コロナのパンデミックと同じくらい深刻なものになるだろう」と語ったとX(旧ツイッター)で紹介されている。

各国がすでに多くの省エネ対策を導入

ホルムズ海峡の事実上の閉鎖を受け、湾岸諸国からの石油輸出に混乱が生じている。アジアでは多くの国が燃料不足に直面し、その結果、エネルギー消費を見直し、エネルギー節約のために在宅勤務を命じるなどの措置を講じている。

・タイ:市民に直接サービスを提供する業務に従事していない公務員が在宅勤務となり、エアコンの設定温度は26度にするよう求められている。また、エレベーターの代わりに階段を使うことも推奨されている。

・フィリピン:公務員は週4日のみ出勤となり、一部では週4日勤務が導入されている。

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翻訳=溝口慈子

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