整然と六角形の巣穴が並んだミツバチの巣は、単純作業の結果ではないことがわかった。ハチたちは、現場を見て、頭で考えて、もっとも効率的な巣作りを実践していたのだ。
どうやって、あの美しい巣が作られるのか。そこには2つの仮説がある。
仮説1:円筒状の巣穴を並べていくと、ハチの体温で材料の蜜蝋が溶けて表面張力で六角形になる。
仮説2:多くのミツバチが単純な行動規則にしたがって行動した結果として六角形の巣穴が整然と並ぶことになる。
どちらも機械的な単純作業と自然の作用の結果であることを示している。はたしてそうなのかと、山梨大学の島弘幸教授は疑問を抱いた。そこで、養蜂でハチに巣を作らせる際に使用する巣礎シート(高さ約1ミリの六角形の巣の土台が並べられた蜜蝋製の板)を使い、六角形の代わりに四角形の土台を並べ、それをミツバチに与えてみた。

四角形の巣礎シートは、四角形がレンガ状に互い違いに並ぶものと格子状に並ぶものを、それぞれ大きさを変えて3種類ずつ、計6種類用意した。
するとハチは、自分の頭が入らない小さい四角形の4種類の場合は、土台をすべて取っ払って更地にしてから、改めて通常の六角形の巣穴を建設していった。頭が入る残りの2種類では、レンガ状、格子状ともに、その配列に従って巣穴を作っていった。
つまりミツバチは、現場の状況を見て、どう建設を進めたらいいかを考え、いちばん効率的な方法を選択しているわけだ。彼らは何も考えずに働く作業員ではなく、「柔軟で知的な建築家」なのだと島教授は話している。



