サイエンス

2026.04.15 18:00

社会性肉食動物の中で、なぜハイエナは「メスが群れを支配」するのか

ブチハイエナ(stock.adobe.com)

ハイエナ社会の母系的な性質が、このシステムの中核をなしている。新たに生まれた子は、母親の順位を継承するが、これは、世代を超えてメスの権力を強化する仕組みだ。すなわち、上位の子ハイエナは、単純にその生まれを理由に、血縁関係のない成獣さえも支配できるということだ。同時にそれは、母親の順位が、子孫の食料へのアクセスや、将来の繁殖成功に多大な影響を及ぼす理由にもなっている。

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むろん、これは社会性哺乳類として特異なシステムではない。序列や順位の継承は、一部の霊長類にも見られる。しかし、ハイエナにおけるメス優位性は、その影響が極めて広範囲に及ぶという点で例外的なものだ。支配的なメスは、繁殖成功率が高く、寿命も長い傾向にあり、その結果、母系の影響力が時間とともに増幅されていく。

ブチハイエナ(stock.adobe.com)
ブチハイエナ(stock.adobe.com)

ハイエナの母系集団が注目される理由

それでもなお、進化論的な観点から、なぜこのようなシステムが生まれたのかと疑問に思う人も多いだろう。そもそもブチハイエナの群れは、食料や縄張りを巡って熾烈な争いを繰り広げることで知られる。リソースへのアクセスは、絶え間ない闘争なのだ。そして、未成熟な期間の長い子どもを育てなければならない母親にとって、安定した食料の確保は極めて重要となる。

このような環境下で、社会集団における権力を握ることは、そのまま子孫の生存上の優位性につながる。このことは、メスの社会的絆を強化する仕組み、ならびに協力的な支援に見返りを与える仕組みが、特に高い適応性を発揮することを意味する。すなわち、社会的戦略においてメスが成功を収めることは、その血統にとって、文字通り生死を分ける問題となる。

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加えて、オスは分散することで近親交配を避け、群れのあいだで遺伝的多様性を広める。この戦略は、種全体にとっての利益となる一方で、オスはどの群れにおいても、社会的に孤立した状態に置かれることになる。このような個体群の動態パターンは、移動するオスから、ハイエナの権力闘争において極めて重要な「血縁に基づく支援のネットワーク」を奪うため、群れ内でのメスの優位性をさらに強固なものにする。

これらの研究結果は、哺乳類の社会ではオス優位が当然であるという、我々の多くが受け入れてきた直感的な前提を覆すものだ。こうした知見は、地位や影響力を決定する上で、社会的支援のネットワークがしばしば肉体的な強さに勝るという、他の生物種(霊長類やヒトも含む)に関する研究とも一致する。

ハイエナの群れにおいて、メスのリーダーが支配的な地位にあるのは、最も体が大きいからではない。それはリーダーが、決して単独で狩りをせず、支援なしに食べ物を与えず、世界に直面するときは必ず仲間と共に行動するからかもしれない。進化生物学者がますます明らかにしているように、そうした在り方こそが、野生の世界における「力の真の通貨(true currency of power)」なのかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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