欧州

2026.04.02 10:30

冷戦期に開発されたM113装甲兵員輸送車、ウクライナ軍でなお健在 戦場のニーズに合致

空挺演習中に米国製M113装甲兵員輸送車のドアを開く国家親衛隊第13ハルティヤ旅団の歩兵。ウクライナ北東部ハルキウ州、2025年8月29日(Ukrinform/NurPhoto via Getty Images)

高い機動力や走破性を備えるM113は、攻撃しにくい目標でもある。履帯を備えるので不整地も走行可能であり、予測しやすくドローンに監視されていることが多いルートを回避できる。攻撃用の装備は基本的に12.7mm口径の重機関銃1丁だけと軽武装だが、そもそもウクライナの戦場では直接照準射撃兵器の有用性は限定的である。ウクライナ軍ではM113の殺傷能力はむしろ、自爆型や爆撃型のドローンを内部に積んで前方の地点まで運び、そこから発進させることができる点にある。

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M113はまた、より新しく高度な装甲車両に比べ機械的にシンプルなつくりになっている。ウクライナの整備士らは、M113の駆動系の構成がウクライナでも普及している「ジョン・ディア」ブランドのコンバインと似ている点を好都合と感じていると伝えられる。さらに、M113は生産期間が長く、広く使用されてきたことから、予備部品のサプライチェーン(供給網)も確立されている。そのため、整備士らが損傷した車両を比較的短期間に修理し、戦闘や長期使用による継続的な摩耗にもかかわらず、運用を維持していくことが可能になっている。

M113は、それ自体が入手しやすい点こそ最大の強みと言える。このプラットフォームは冷戦期に開発され、大量に配備されたため、多くの国が更新の時期に入っている。そしてそれらの国々は不要になった分について、廃棄するよりもウクライナへ譲渡することを選ぶ傾向にある。

システムの供与数の多さは、すでに5年目に入った消耗戦でとくに重要な点である。ロシア軍もウクライナ軍もこれまで、直接照準射撃や砲撃、ドローン、地雷、あるいは整備面の問題で多数の装甲車両を失ってきた。その不足や、ドローンに対する脆弱性への懸念に直面するなか、ロシア軍は民生用の車両にいちだんと依存するようになっている。一方のウクライナ軍は、M113の在庫をますます頼りにできるようになっている。

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ウクライナ軍がM113を引き続き使用していることは、この戦争の広範なパターンを示すものでもある。戦争が長引くなか、両軍とも、現在のニーズを満たすために旧式の装備を活用する方策を見いだすことで適応してきた。M113の場合、それがこの戦場のダイナミクスに適合しているのは、現代戦に最適化されているからではなく、当初から適応性や量産、長期戦を前提に設計されていたためである。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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