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2026.04.05 11:15

推し活の現実と10代の8割超が抱える界隈の闇、博報堂が調査

プレスリリースより

プレスリリースより

何かを強く好きでいることが、これほど肯定される時代はなかっただろう。アイドル、アニメ、スポーツ。対象を問わず「推し」を持ち、同じ熱量の仲間が集まる「界隈」に属する。

かつて一部の愛好家のものだった行動様式が、いまや世代を超えた日常になりつつある。

博報堂の専門組織「生活者発想技術研究所」による研究プロジェクト「偏愛会議」が、15〜69歳の男女を対象に実施した調査によって、その広がりが浮き彫りになった。

10代の8割超に「推し」がいる

「推しているモノ・コトがある」と答えた人は全体の53.7%。10代では89.3%にのぼり、20代で73.7%、30代で59.0%と年代が上がるにつれて割合は下がるものの、60代でも37.2%が「推し」の存在を認めている。

「自分が所属する界隈がある」も全体で53.3%と半数を超え、10代では80.1%に達した。

SNSの普及が、この変化を後押ししている。かつては「オタク」というレッテルを恐れて隠されていた「好き」が、いまや自由に発信できるものになった。好きなものを公言すること自体がポジティブに受け止められる空気が、世代を問わず広がっている。

浸透したからこそ生まれる息苦しさ

ただ、推し活が当たり前になった社会には、別の側面も生まれている。

「偏愛会議」の外部研究員からは、推し活における消費金額が界隈内での評価と結びつく風潮への違和感が複数挙がった。グッズの購入量やライブの参加回数で序列が生まれ、お金をかけられない人が疎外感を覚える。

推し活という言葉を盾に、消費行動がアイデンティティと同一視される状況に疑問を抱き、好きなものを公言することを避けていた時期があるという声もあった。

「好き」の裾野が広がったことで、そこに伴う圧力もまた可視化され始めている。

好きを長く続けるために

こうした変化を受けて偏愛会議が提唱するのが「スキステナブル」というキーワードだ。依存しすぎず、無理をせず、推しも自分も周囲も大切にしながら、幸せな推し活をできるだけ長く続けようとするマインドセットを指す。

レポートでは企業に対しても、生活者を消費のターゲットではなく共創パートナーとして捉え、煽るのではなく「推していて良かった」と感じられる体験を設計すべきだと提言している。「好き」の形が多様化した時代に、その持続可能性をどう支えるか。問いは企業側にも向けられている。

【調査概要】
調査対象:15〜69歳男女(「推し」という言葉を知っている人4402人/「界隈」という言葉を知っている人3543人)

出典:博報堂 偏愛会議 「これからの『好き』という気持ちの行方 スキステナブル

文=池田美樹

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