サイエンス

2026.04.01 13:47

人類の音楽の起源はチンパンジーか 京都大学が演奏行動を特定

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京都大学の研究グループは、飼育下のチンパンジー「アユム」が通路の床板を使って複雑な構成の音を鳴らして遊んでいることを発見した。その音の構造は、チンパンジー同士の声によるコミュニケーション「パント・フート」に近く、道具を使った音声表現は人類の音楽の起源ではないかと思われる。

京都大学ヒト行動進化研究センター助教の服部裕子氏らによる研究グループは、通路の床板から道具を作り、叩き付けたり、擦りつけたり、投げたりして特定の音のパターンを作る遊びを自発的に行っているアユムが、「プレイ・フェイス」と呼ばれる遊びの表情を浮かべていたことから、この行動が「快感情をともなう表現へと発展している可能性」を示唆すると話す。

アユムのこの行動が収められた89種類の映像を解析したところ、ランダムではなく、板で何かを叩いて出す0.3〜0.4秒間隔の「ドラミング」、板を金網などに引きずって出す、0.08秒未満の短い間隔の音、投げる音の3つの組み合わせであることがわかった。また、ドラミングから引きずる音、引きずる音から投げる音というパターンが優位に多く観察された。これは森のなかでチンパンジーが、最初はゆっくり、しだいに早くなって最後に大きな叫び声に移行するパント・フートのパターンによく似ていた。

通路の床板を外すアユム。
通路の床板を外すアユム。

これは、独自に作り出した道具を組み合わせた遊びであり、「演奏」とも受け取られる。また、この行動中に見られるプレイ・フェイスは楽しい感情を表すもので、声によるパント・フートの際には見られない。一方で、道具による音表現が、通常のパント・フートよりも楽しい行動になっていると考えられる。これを研究グループは、「声で表現されていた感情表現が、道具音として外在化し発展したものである可能性」が示されたと話している。

これは、道具の使用を「音としての表現」に展開させる能力がヒトに近い霊長類種にも備わっていることを示すとのことだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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