1000年以上前に編まれた「古今和歌集」でも詠まれている“春の雪”。冬の雪とは異なり、たちどころに消えてしまうため、“儚さ”のたとえに用いられる季語だが、その刹那的な感覚はファッションにも通じる。なかでも春のシャツは、儚い季節の移り変わりを感じながら、憂いとシックさを表現する、味わい深きアイテムである。
さりげなくも個性的な素材使いの妙
鮮やかなレッドが目を引くシャツは、薄手で軽量なナイロン製。ややゆとりがあるコンフォートフィットのシルエットも相まって、軽快に羽織れる。またウエスト部分にのみ透け感のあるシルクオーガンザを重ねた二重構造になっており、軽やかさが強調されている。しかも同色なので目立ちすぎず、それでいて個性的なアクセントとなる絶妙なデザインだ。襟はスナップボタンによるボタンダウンになっており、ストイックな襟元を演出できる。ダークネイビーのパンツと合わせると、鮮やかさが一層引き立つ。
優雅な首元を演出するシルクシャツの価値
あたかも白磁器のようにスムースな光沢をたたえる、ポーセリン・シルクを用いたシャツ。リラックス感のあるシルエットと生地の柔軟さにより、流れるように美しいドレープが堪能できる。また優雅な襟元を演出する、着脱可能な同素材のリボンスカーフが付属しており、2通りの表情が楽しめるのも特筆すべき点だ。一枚で着ても十分さまになるシャツだが、カーキカラーの男らしいジャケットとも好相性。エレガントなシャツと骨太なジャケットとのコントラストを楽しみたい。ツイーディなツータックパンツが好バランスだ。
端正な襟元で見せる洗練のエレガンス
ジョルジオ アルマーニが得意とするマオカラーを採用した一枚。艶やかな黒蝶貝製のボタンを狭いピッチで数多く配することで、マオカラーならではのストイックな印象が強調されている。素材は深みのあるブルーに染めたリネン混ファブリック。さらりとした軽やかな肌触りにより、高温多湿な日本の春夏シーズンでも快適な着心地が堪能できる。襟元に物足りなさを感じたらスカーフが有効。ストイックな印象を生かすべく、きちんと巻いてシャツにたくし込むのが正解だ。
大胆にして繊細な独創的クリエイション
異なるアイテム同士を融合させるドッキングは、コム デ ギャルソンがたびたび披露する表現手法のひとつだ。新作はきめ細かな高級シャツ地を用いたオーバーサイズのドレスシャツをベースに、前身頃にのみジップフロントのコットンニットをドッキング。一見ではジップベストを重ね着しているような、ユニークな表情に。一枚羽織っただけで十分存在感があるので、シンプルなパンツとコーディネイトすれば装いがきまる。



