AI技術への期待が高まる中、AIツールやエンタープライズ向けソフトウェアを提供する企業には、短期間で成果につながることを示すことが求められている。しかし、導入から最適化に至るプロセスは複雑で、多くの時間と労力を要する。こうした課題を背景に、価値創出までの時間を短縮するプロフェッショナル・サービス・オートメーション(PSA)企業が急速に存在感を高めている。市場調査会社グランドビューリサーチによれば、PSA市場は昨年124億ドル(約2兆円)規模だったが、2033年には400億ドル(約6兆4000億円)を超え、年率約15%で成長する見通しだ。
こうした潮流を捉え、最大の勝者の一社として台頭しているのが、サンフランシスコに本拠を置く「ロケットレーン(Rocketlane)」だ。同社は3月25日、シリーズCラウンドで6000万ドル(約95億円)を調達したと発表した。同社は、過去12ヵ月間で売上高を2倍以上に伸ばす急成長を遂げている。「AIプロバイダーにとって、導入と実装こそが最も重要な課題だ。顧客を目標とする成果へと導く能力こそが、最大の差別化要因になる」とCEO(最高経営責任者)のスリクリシュナン・ガネサンは語る。
筆者がロケットレーンを初めて取材したのは、同社が事業を立ち上げた直後の2022年初頭だった。当時から同社は、SaaSプロバイダーによる顧客オンボーディングの迅速化と、導入から価値創出までの期間短縮を支援してきた。AIツールや関連するエンタープライズ向けソフトウェアを提供する企業が急増する現在、同社はこうした取り組みを背景に、有利なポジションを確立している。
3年間にわたる力強い成長を経て、ロケットレーンは昨年初頭、自社の提供価値を再定義し、PSAプラットフォームにエージェント型AIソリューションを組み込んだ。これにより、請求システムの立ち上げやスタッフ研修といった従来の導入・実装支援にとどまらず、実行フェーズへの関与を強化している。現在ではクライアントと連携し、システム設定や統合、テスト、ドキュメント作成などの業務自動化を支援している。
「AIを組み込んだPSAプラットフォームは、3つの異なるレイヤーで機能する必要があると我々は考えている。事業運営を支え、サービス提供のあり方を変革するだけでなく、実際の導入や最適化といった現場の業務も支援すべきだ」とガネサンは説明する。
ロケットレーンが激しい競争環境の中で急成長を遂げていることは、ガネサンの提案が顧客に受け入れられている証左だ。市場調査会社ガートナーによれば、高い評価を得ているPSAベンダーは十数社に上り、WrikeやKantata、オラクルのNetSuiteなどが名を連ねている。



