スタートアップ

2026.04.01 08:45

「地力問われた1年」から「グローバル足掛かりの1年」へ|ジャフコ グループ長島昭

Forbes JAPAN 2026年版「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」で2位にランクインした、ジャフコ グループの長島昭。2015年の同社入社以来、シード・アーリーステージの投資一筋で、IPOを果たしたdely(現クラシル)やミラティブなどの成長を支援し、26年4月1日より同社のチーフキャピタリストに就任。4月16日に開催する「RISING STAR AWARD 2026」で審査員を務めるベンチャーキャピタリストに、2026年のスタートアップシーンの展望を聞いた。

企業の「地力」問われた1年

──2025年のスタートアップを取り巻く環境をどう見たか。
 
長島:スタートアップによる資金調達の総額はおおむね横ばいだったが、中身は変化した。AIのように資金が集まりやすい領域があり、大型資金調達も起きている。一概に「資金調達環境がいい」とは言えないが、事業が成長し期待がもてる領域には大きな資本が集まる仕組みだ。スタートアップ各社の「地力」が問われた1年だとも言える。

AI領域ではポジティブな変化があった。ユーザーに利用されるプロダクトを生み出し、業績を伸ばしているAIスタートアップが増えた。「バブル」と語られがちだが、市場、個別企業ともに成長している。
 
──成長戦略としてIPO(新規株式公開)以外の選択肢が広がっている。投資先企業の意識の変化はあるか。
 
長島:明確に変化を感じる。その背景として、SmartHRにて、General Atlanticに約150億円で株式売却という日本のスタートアップ史上最大級のセカンダリー取引が実現したこと。上場企業でもラクスルがMBO(経営陣が参加する買収)による非公開化など、成長フェーズで資本構造を組み替える動きの広がりがある。こうした事例により「上場だけがゴールではない。自分たちに合った資本戦略を描けるのではないか」という議論が生まれている。IPOに加え、①M&Aで事業会社の傘下に入り、顧客基盤や営業網を生かして成長を加速させる、②銀行融資などエクイティ以外の手段での資金確保など、成長への道筋が多様化した。事業特性や成長フェーズに合わせて、資本戦略を設計する柔軟性が上がっている。

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文=加藤智朗

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