経営・戦略

2026.04.16 14:30

コクヨ120年成長を牽引する「カルチャーイン、アウト」の新常識

(写真左から)黒田英邦(コクヨ代表執行役社長)・大森充(日本総合研究所)・花井優太(クリエイティブ・ディレクター/編集者)

「絶対に未来」規定で書き換える

大森:何を大切にして書き換えたのでしょうか。

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黒田:過去から培ってきた価値観、カルチャーを、未来の僕たちのチャンスや成長に向けて、どのように言い換えるか、ですね。

僕が入社して5年目の100周年時に、「Always Innovating FOR YOUR KNOWLEDGE(いつも知識創造のためにいる)」というキャッチフレーズをつくりました。それは「今の正解」の言葉だったんです。でも、若い人たちからすると「未来の話ではないし、カルチャーを今風に噛み砕いて、新規事業が生まれるわけでもないし」とどこか冷めていた。

だから、今回は「絶対に未来だ」と。未来に対して宣言しないと、社員はもちろん、世の中もノってくれない。「社会に対して役に立ちたい」という思いを強くしながら、役に立ちたいのであれば、どんな未来をつくりたいか、その未来に自分たちはどのように貢献したいのか、をできるだけ多くのメンバーに話をしてもらいました。

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それにより、目指す未来シナリオを「自律協働社会」と設定し、「be Unique.」という企業理念や「共感共創/実験カルチャー/体験デザイン」というバリュー、「ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする。」というパーパスになりました。そして、今回のブランディングで、「好奇心を人生に」というコーポレートメッセージになりました。これらは全部同じことを言っているんですよ。「これから未来にどういうふうに役に立っていきたいか」と。自分たちが何をするのかは後でもいいんです。世の中の「何」に対して集まっている組織なのか、をはっきりさせることが大事です。

「カルチャー」と「戦略」と「再現性」

黒田:僕はカルチャーというのは、戦略の再現性が高くなることだと思うんですよ。戦略とは誰かに勝つためではなく、ユーザーに対して価値を高めるためという意味です。「コクヨらしい」と僕らが信じてきたこと、信じていることを戦略に組み込んでいくことで差別化にもつながりますから。例えば、開発と生産をわけずに「ものづくり開発本部」としているのもその一例かもしれません。「コクヨのモノづくりって何か」を自律協働的に考えることにつながる。これらが空気のように浸透してくると、戦略の再現性が高くなることに加え、たくさんの人たちで新しいチャレンジがしやすくなりますよね。

大森:コクヨのカルチャーは明文化されていないことが面白いですし、新しいですよね。アップデートされた理念体系がカルチャー全体になる。

大森充◎日本総合研究所ストラテジー&ソーシャルバリューグループ部長/上席主任研究員。京都大学大学院経営学修士課程修了後、日本総合研究所に入社。2017年-19年は米国シリコンバレーAIスタートアップの日本法人代表を兼務。プライム上場企業やスタートアップの顧問も務める。
大森充◎日本総合研究所ストラテジー&ソーシャルバリューグループ部長/上席主任研究員。京都大学大学院経営学修士課程修了後、日本総合研究所に入社。2017年-19年は米国シリコンバレーAIスタートアップの日本法人代表を兼務。プライム上場企業やスタートアップの顧問も務める。

KEYWORD 4
自律協働社会コクヨでは、ありたい未来として、「自律協働社会」を掲げている。自律協働社会は、自律した個人が互いを認め合って協働することで新しい価値が生まれてくる社会。同社では、その実現に向けて、1.Well-beingの向上、2.社会的価値創出に向けたマネジメントシステム変革、3.気候危機への対応、4.循環型社会への貢献、5.サステナブル調達の推進、6.自然共生社会への貢献という6つのマテリアリティをあげて取り組んでいる。

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文=フォーブスジャパン編集部 写真=平岩亨

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