経営・戦略

2026.04.16 14:30

コクヨ120年成長を牽引する「カルチャーイン、アウト」の新常識

(写真左から)黒田英邦(コクヨ代表執行役社長)・大森充(日本総合研究所)・花井優太(クリエイティブ・ディレクター/編集者)

花井優太(以下、花井)仮説のきっかけとなった企業が、コクヨです。僕はコクヨの120周年のリブランディングにも携わらせていただきましたが、重要なこととして120年培ってきた企業文化を「好奇心」という言葉でまとめて価値化し、コーポレートメッセージとして発表したことがあります。今回、コクヨのカルチャーに焦点を合わせながら、2つの構造で話を伺いたいです。ひとつ目は「コクヨはどのようなカルチャーを育んでいるのか」。ふたつ目は、私たちが「カルチャーアウト、カルチャーイン」と呼ぶものについて、企業としてどのようなことをされているのか。まず、コクヨのカルチャーはどのように育んでいるのか、お聞かせください。

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黒田英邦(以下、黒田)私たちのカルチャーには、120年前の創業者である黒田善太郎の創業精神である「商品を通じて世の中の役に立つ」、そして経営の信条という歴史的な基盤があります。それに加え、文具やオフィス家具を通して、働いている人や勉強している人を支えてきたという120年の歴史と実績と自負もある。社員も「社会の役に立つ」という実感のもと仕事をしてきた経験・体験が育まれている会社なんだと思います。昔、スマイルズ代表取締役・遠山正道さんと話をした際に「コクヨって、なんで文具や家具という誰でも思いつくような身近なものを事業としてもっているの?」と言われたんです。それであらためて、僕らのカルチャーは、「社会の役に立つ」という基盤で成立した、顧客に対する解像度の高さをもち、商品やサービスを提供することが、責任であり、誇りという文化が続いてきたことだと思ったんです。時代によって、もちろんつくっているモノは違うのですが。

2015年に社長に就任して、20年に30年に向けた長期ビジョンを出すタイミングまでは、「文具はもう廃れるかもしれない」「時代の変化についていけない」といった厳しい声がありました。ですので、この5年で、ミッション、ビジョン、バリュー、企業理念、そして最後はブランディングも書き換えることを進めてきました。とはいえ、発信している内容は、何も変わっていません。

もっと言うと、100年以上やってきたから、今回の「好奇心を人生に」というコーポレートメッセージにつながり、「コクヨは好奇心屋になります」と言えるのだと思います。

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黒田英邦◎コクヨ代表執行役社長。1976年、兵庫県芦屋市出身。甲南大学、ルイス&クラークカレッジ卒業後、2001年にコクヨへ入社。オフィス家具部門の法人営業、経営企画部長、コクヨファニチャー社長、コクヨ専務を経て、15年に代表取締役社長、24より現職。
黒田英邦◎コクヨ代表執行役社長。1976年、兵庫県芦屋市出身。甲南大学、ルイス&クラークカレッジ卒業後、2001年にコクヨへ入社。オフィス家具部門の法人営業、経営企画部長、コクヨファニチャー社長、コクヨ専務を経て、15年に代表取締役社長、24より現職。

KEYWORD 2
長期ビジョン2021年に策定した「長期ビジョンCCC2030」。コクヨは、未来のありたい社会を、誰もが活き活きと働き、暮らし、つながりあう「自律協働社会」とし、その実現に貢献するための自分たちの役割を「WORK &LIFESTYLE Company」と再定義。「働く」「学ぶ・暮らす」のドメインで、文具や家具にとらわれない豊かな生き方を創造する企業となり、30年の売上高5000億円の実現を目指す。

KEYWORD 3
第四次中期経営計画コクヨは2025年から27年の第四次中期経営計画を、長期ビジョンやその先の成長に向けて大きく成長のかじを切る重要な位置付けとしている。「森林経営モデル」のアップデートを掲げ、ワークスタイル領域、ライフスタイル領域をはじめ、持続的に成長する多様な事業の集合体(森林)の土壌に蓄積された各事業のナレッジを束ね、事業間のシナジーを追求し、事業領域拡張や海外への拡張を目指す。 

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文=フォーブスジャパン編集部 写真=平岩亨

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