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2026.04.01 07:30

なぜ9万円のヘッドホンが売れるのか──AirPods Max 2が提示するウェアラブルAIという新市場

アップルが4月1日に発売するワイヤレスヘッドホン「AirPods Max 2」。税込8万9800円という価格に見合う本機の真価を探る

アップルが4月1日に発売するワイヤレスヘッドホン「AirPods Max 2」。税込8万9800円という価格に見合う本機の真価を探る

アップルは2026年4月1日に最新のワイヤレスヘッドホン「AirPods Max 2」を発売する。アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載するワイヤレスヘッドホン市場は、ソニーやボーズ、JBLといった国内外の人気ブランドが、5万円台のプレミアムセグメントに最先端技術を投じ、激しくしのぎを削る領域だ。

オーディオブランドとしては後発に位置するアップルが、競合よりもさらに高価な約9万円(税込8万9800円)という強気な価格設定で挑むAirPods Max 2には、果たしてどのような魅力があるのだろうか。

なぜAirPodsは売れ続けるのか? 価格を超える価値の正体

アップルはAirPodsシリーズの世界市場における具体的なシェアを公開していないが、複数の海外調査会社が公表した2025年のグローバルマーケットのデータ(※一例はCouterpoint社2026年3月の調査データ)を参照すると、AirPodsシリーズは販売数量ベースで20%前後のシェアを獲得しているようだ。続く2位以下のブランドのシェアは1桁台から10%程度に留まっているという。

販売数量ベースによる調査は通常、低価格帯のアイテムが有利になりやすいものだが、そうであるにもかかわらず高単価なAirPodsシリーズが首位を堅持している。日本国内においても、家電量販店やECの実売データを集計するBCNランキングの報道(※一例は3月30日報道による実売データ)を確認する限り、AirPodsシリーズはソニーやアンカーといった有力な競合を抑え、ランキング上位の常連となっている。

AirPods Max単体のシェアに特化したデータは見つけられなかったが、筆者の肌感では、2024年9月に発売されたApple H1チップ搭載モデルが税込8万1000円という高価格であったにもかかわらず、ここ数年でその支持は確実に広がりを見せている。

2017年頃から市場を席巻していた左右独立型のワイヤレスイヤホンに代わり、現在はワイヤレスヘッドホンのブームが再燃している。その背景には、イヤホンにはない実用的なメリットが見直されていることが挙げられる。サイズが大きく紛失リスクが低いこと、装着時に「集中している」ことを周囲に視覚的にアピールできること、そして何よりバッテリー持ちの良さが決定的な差となっていると、筆者は考える。

アップルが独自に設計したダイナミック型ドライバーを搭載。サウンドの要であるアンプICチップを今回新しいものに入れ替えている
アップルが独自に設計したダイナミック型ドライバーを搭載。サウンドの要であるアンプICチップを今回新しいものに入れ替えている

AirPods Pro 3の連続再生時間が最大8時間であるのに対し、AirPods Max 2はANCオン時でも最大20時間の駆動が可能であり、頻繁に充電する手間を省きたいユーザーに大きなメリットをアピールできている。

AirPods Maxがファッションアイテムとして定着したことも無視できない。アノダイズド加工を施したアルミニウム製イヤーカップやニットメッシュ素材のヘッドバンドなど、AirPods Maxらしさを強調するデザインエレメントは、SNS上での自己表現にも適したアイコンとなった。音楽を聴かない時でも首にかけておけば様になる。ストリート系ファッションと相性が良いことも、若い世代を中心とした人気を支えている。

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編集=安井克至

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