現実はその水準に遠くおよばない。マイクロソフトは数値を開示していないが、アナリストは2025年のM365 Copilotの年間収益を14億〜32億ドル推計している。低水準の背景には、Microsoft 365の商用ユーザー4億5000万人のうち、ごく一部(約2〜3.3%)しか、Copilotを全社展開するためにユーザー当たり月30ドルのプレミアムを支払っていないことがある。
多くの企業は投資対効果を見いだしていない。端的に言えば、Copilotによる時間短縮や生み出される価値は、標準のソフトウェアライセンス費用を倍にすることを正当化しない。
理由はこうだ。マイクロソフトは、BingからWindows、Officeに至るまで、自社のサービスライン全体に汎用的なチャットボットを追加することで、巨額の収益成長への近道を取った。
だが不幸なことに、Copilotには複雑な仕事を行うための基本的な組織機能、スレッドのピン留め、長期プロジェクトの文脈を容易に呼び戻すこと、複数ステップのタスクの実行などが欠けていた。
極端な例がある。ある会計士は、帰宅後の空き時間にClaudeやChatGPTを使って、職場でやるべきことをすべて書き直し、それをマイクロソフトのCopilotシステム内に流し込み、勤務先の会計事務所がCopilot以外のツール利用を禁じているため、職場のメールアドレスに送っているという。
筆者自身、Copilotは煩わしく、そしてClaudeと違って何ら有用なことに役立たなかったため、システムから無効化するよう求めた。
Claudeが「支払った金額に対してより多くを提供」する理由
マイクロソフトは暗に筆者の見方に同意している。Copilot Coworkの最近の導入を通じて、Copilotに高度なタスクを担わせるためにClaudeのモデルに依存しているのは、Anthropicをより優れた知能プロバイダーとして認める一方で、OpenAIへの投資を危険にさらしていることになる。
配布によってAIの物語を勝ち取ろうとしたマイクロソフトと異なり、Anthropicは能力と信頼で成功している。こうした強みは、Anthropicのエンタープライズ市場シェアを2年足らずで18%から40%へと押し上げ、ゴールドマン・サックスやアリアンツのような高度に規制された企業との契約獲得を可能にした。
ClaudeはChatGPTと異なり、常にユーザーが手取り足取りサポートする必要がない。破綻することなく、何時間も自律的に作業できる。20万トークン超のコンテキストウィンドウを備えるため、600ページの文書を取り込めるうえ、平均1.4時間かかるタスクの完了までの時間を平均80%短縮する。


